公開中の映画「ブルーイマジン」を試写会で見た。映画界の性加害がテーマ。喜べることではないが、こうした映画が、日本でもタイムリーに作られるようになった。「ここまで来たか」と感慨深かった。
ストーリーはこうだ。俳優志望の斉藤乃愛は、過去に映画監督から性暴力の被害にあっていた。弁護士の兄に相談するも、兄は告発には否定的だ。同じような経験を持つ友人とシェアハウス「ブルーイマジン」に移り住む。そこは、性被害者らの駆け込み寺だ。
主人公の乃愛は、フィリピン人女性、男性の性被害者ら多様な人々と生活しながら、ともに声を上げることを決意。加害者の映画監督の新作発表の記者会見に乗り込む。
プロデュース・監督・出演の3役
ネタバレになるかもしれないが――、監督との事前打ち合わせで適当に振る舞っていた広報の女性が、会見ではがぜん女性の側に立つ。乃愛の告発に触発され、主演女優が性的な演出に異議を唱える。「女、なめるなよ」の気概を感じた。
2月27日掲載のメディア万華鏡で取り上げた米映画「テルマ&ルイーズ」は1970年代の女性の連帯を描き、先駆的だった。対して「ブルーイマジン」は今の日本を映し出す。
プロデュースと監督は松林麗さん(31)。ブルーイマジンの主宰者として出演している。自身も性被害の実体験がある。このような映画ができるのは、2017年に広まった性暴力告発の「#Metoo」運動のパワーだろう。
「#Metoo」運動の広がりは
「#Metoo」運動は世界にどう広がっているのか。その手がかりの一つとして、「被害と加害のフェミニズム #MeTtoo以降を展望する」(解放出版社)を読んだ。編著は、韓国の社会活動家のクォンキム・ヒョンヨンさん。
同著は、韓国で「#Metoo」が盛り上がった18年に刊行された論文集。性暴力に関して「被害者と加害者の対立」でとらえることにとどまっているフェミニズム運動を批判的に分析している。
クォンキム・ヒョンヨンさんが問題視するのは、性暴力に立ち向かう運動の中で…
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