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「為替介入観測」後でも円安トレンドが継続するワケ

鈴木浩史・三井住友銀行チーフ・為替ストラテジスト
1ドル=155円台となった円相場を示すモニター=東京都中央区で2024年4月29日、渡部直樹撮影
1ドル=155円台となった円相場を示すモニター=東京都中央区で2024年4月29日、渡部直樹撮影

 「為替介入は、中長期的に見ると、為替相場のトレンドを変えるものではない」というのが、金融市場でのいわば常識である。筆者もその考えに同意する。その意味で、為替介入観測があった後でも円安トレンドが継続する、というのは、何らおかしな話ではない。

 一方、円安トレンドが継続するだけの、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は現在どのような状況にあるだろうか。

 なお、はじめに断っておくが、2024年4月29日、5月2日に為替介入があったかどうかについて、当の財務省がノーコメントとしており、筆者も本稿執筆時点(5月7日)でそれ以上の情報を持っていない。

米国だけが高金利を維持する世界へ

 4月10日に発表された米国消費者物価指数(CPI)、4月11日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会という二つのイベントは、目先の為替相場にとって一つの転換点だったとみられる。

 発表された3月の米国CPIは上振れした。米連邦準備制度理事会(FRB)が注目している、住宅とエネルギーを除いたサービス価格(「スーパーコア」とも呼ばれる)が2月の前年比4.3%から3月には同4.8%へ加速した。

 インフレが沈静化するどころか加速してしまった事実に直面し、多くの市場参加者はFRBの主張する利下げが現実味を失いつつあると痛感した。「FRBが金利を下げたいなら、それはどうぞ。ただし年1%近い利下げペースは無理だ」というのが、多くの市場参加者が感じたところであろう。

 4月16日に、パウエルFRB議長は現在の高水準の政策金利を「必要なだけ長期間」据え置くとし、6月の利下げの可能性を事実上放棄するに至った。市場参加者の間で、米国の高金利維持が視野に入った。

 その翌日に開催されたECBは、発表された声明文で、次回6月の理事会の利下げを示唆した。つまり、6月利下げを放棄した米国とは対照的に、ユーロ圏は6月利下げへと向かうと表…

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三井住友銀行チーフ・為替ストラテジスト

 1981年生まれ、神奈川県出身。2004年、慶応義塾大学経済学部卒業後、三井住友銀行入行。13年、一橋大学大学院国際企業戦略研究科修士課程修了。13年~18年、シンガポール駐在。22年から市場営業統括部 調査グループ長、チーフ・為替ストラテジスト。主に為替・金利を中心とした金融市場分析およびマクロ経済分析を担当。