スルガ銀行は5月10日、2024年3月期の決算会見をオンラインで行った。投資用不動産の不正融資問題は解決に向けた目立った進展は見られなかった。変わったことと言えば、不正融資発覚後に外部から経営陣に加わり、社長・会長を務めた嵯峨行介氏(59)が3月末で会長を退任したことだ。
スルガ銀行は6年前の18年に不正融資が発覚し、金融庁から業務改善命令を受けた。2年後に、同行から借金してシェアハウスを投資物件として購入し、返済できなくなった人たちへの融資を帳消しにすることで決着した。その翌年、中古アパート・マンションを1棟丸ごと同じように借金で購入し、返済が困難になった約400人が「被害者同盟」を結成。同行に対しシェアハウスと同様の解決を求めてきた。
被害者同盟の弁護団とスルガ銀行との交渉は民事調停の手続きのなかで行われてきた。22年5月、社長だった嵯峨氏はシェアハウスと同様の解決策を拒否しつつ、「話し合いをしながら可能な限り速やかに問題解決に向かいたい」と早期解決を模索する考えを表明した。だがその後も互いの主張のミゾは埋まらず、交渉は3年近く続いている。
この日のスルガ銀行の決算会見でも、嵯峨氏の後任の加藤広亮社長が「一日でも早い問題解決を強く希望しており、当社の最重要の経営課題と認識している」と説明した。その半面、「依然として見解の相違が残っている」と解決のメドは立っていないことを認めた。
業務改善命令続くなか嵯峨氏は退任
会長を退いた嵯峨氏は、不正融資が発覚した翌年、佐川急便を傘下におくSGホールディングス取締役からスルガ銀行に副社長として入った。1年間、当時の有国三知男社長を補佐。シェアハウス問題が解決策に合意した後の20年から3年間社長を務め、23年6月に会長になった。
社長・会長の在任中、嵯峨氏は「早期解決を目指す」と繰り返し表明したが、実際に決着に向けて動くことはなかった。弁護団との交渉の場に同席することは一度もなく、被害者同盟が求めた「直接対話」に応じることもなかった。
金融庁は業務改善命令で同行に対し「個々の債務者に対して適切に対応する」ことを求めてきた。だが、弁護団との交渉が決着しないことがネックになり、命令が解除されないまま5年7カ月という異例の長さになっている。
さらに、交渉が長引いていることが、スルガ銀行の不良債権の高止まりを招いている。被害者同盟に所属する約400人は銀行への元利返済を停止していて、その額は約870億円にのぼる。これは銀行にとって不良債権にあたる。総与信残高に占める不良債権の比率は9.88%という極めて高い数字になっており、国内の銀行で最悪の水準だ。嵯峨氏はこの状況を打開することなく退任した。
嵯峨氏退任は「本人の意向に沿って」
この日の決算会見で説明にあたった加藤氏は昨年6月、副社長から社長に昇格した。加藤氏は嵯峨氏の退任について「嵯峨(前会長)自身の申し出というか、意向に沿って退任ということになった」と述べた。
さ…
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