「エネルギー基本計画の改定に際して、再エネ、原子力などエネルギー自給率向上に資する脱炭素エネルギーの供給を拡大し、そのための事業環境整備に取り組みます」。自民党は今回の衆院選の政権公約にこう記している。公約に盛り込んだ「原子力の供給拡大のための事業環境整備」とは何を意味しているのか。
エネルギー基本計画は政府のエネルギー政策の指針で、2024年度内に改定することになっている。今回の衆院選で目立った争点になっていないが、与野党の主張には大きな違いがある。
次期エネルギー基本計画の焦点の一つは原発の扱いだ。自民は原発への支援を求める経団連や電力業界の要請を受け、今回の衆院選の公約に原発推進の具体的な政策を盛り込んでいる。
原発建設費を電気料金上乗せ
自民が政権公約に掲げる「原子力拡大の事業環境整備」とは、原発の建設費用を消費者が負担する新たな支援策を指しているとみられる。政府が原発の建設費用を電気料金に上乗せする新たな支援策の導入を検討していることは、毎日新聞経済プレミアでこれまで詳しくリポートしてきた。
政府が導入を検討しているのは、英国の「規制資産ベース(Regulated Asset Base=RAB)モデル」と呼ばれる原発支援の政策だ。英国では原発の建設コストが当初予定の2倍程度に膨らみ、新設が計画通り進んでいない。
RABモデルはこの建設費の負担を原発の建設段階から消費者に求める仕組みだ。電力会社が原発の建設や運営に必要なコストを電気料金に上乗せして回収する。日本では総括原価方式と呼ばれ、政府が認可する従来の規制料金に近い。
日本では16年の電力小売りの完全自由化で、コストを料金に転嫁する総括原価方式は原則として廃止する方向となっている。RABモデルを導入すれば、電気料金は上がることになり、電力自由化の趣旨に逆行する。
この原発支援策は政府の総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の原子力小委員会などで議論されているが、メディアへの登場は少ない。今回の衆院選でもあまり話題となっておらず、有権者にほとんど知られていない。
立憲「原発ゼロ一日も早く実現を」
この原発支援策を政府が盛り込もうとしている次期エネルギー基本計画について、立憲民主党は…
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