今回の衆院選の争点の一つは原発をはじめとする原子力政策だ。中でも国策の核燃料サイクルは推進か撤退なのか。主要政党の政策は大きく異なり、注目に値する。
核燃料サイクルとは、原発の使用済み核燃料を再処理し、取り出したウランとプルトニウムを再利用しようとする国家プロジェクトだ。
ところが青森県六ケ所村で1993年に着工し、当初は97年に完成予定だった再処理工場はトラブル続きで現在も完成していない。
英仏に再処理を委託して取り出したウランとプルトニウムを燃料に加工し、既存の原発で使う「プルサーマル発電」も計画通り進んでいない。再処理後に残る「核のごみ」(高レベル放射性廃棄物)の処分地も決まっていない。核燃料サイクルは事実上、破綻している。
海外はどうか。主要先進国でフランスは使用済み核燃料を再処理し、プルサーマル発電で利用しているが、英国は再処理を中止。米国とカナダは再処理を断念し、使用済み核燃料を直接処分する方針だ。脱原発を果たしたドイツとイタリアは原発が稼働していない。
直接処分とは、使用済み核燃料を再処理せず、一定期間貯蔵・管理した後、核廃棄物として地下などに埋めることを指す。再処理を進めてきた英仏を除く欧米諸国の多くは、コストがかさみ、技術的にも実現が困難な再処理から撤退し、直接処分を採用している。
再処理を含む核燃料サイクルを推進しようとしているのは、ロシア、中国、インドなどに限られる。
自民は核燃料サイクル推進
そんな核燃料サイクルについて、自民党は今回の政権公約で「使用済み核燃料を再処理し、回収されるプルトニウムを有効利用する核燃料サイクルを推進する」と訴えている。
自民は六ケ所村の再処理工場について「安全確保を大前提に、施設の完成と操業に向けた準備を着実に進めていく」としている。しかし、着工から30年以上たっても完成しない再処理工場をどうするか、具体的な提案はない。
高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定については「必ず解決しなければならない国家的課題であり、次世代に先送りせず現世代の責任を果たすべく、着実に取り組みを進める」という。これらは政府・自民党の従来通りの主張で、前回の衆院選(2021年10月)の公約と変わっていない。
立憲と共産は核燃料サイクル中止求める
これに対して、立憲民主党は「核燃料サイクル事業の中止に向け、関係自治体との協議による新たな枠組みを構築し…
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