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「相続土地国庫帰属制度」案外使えるは本当なのか?

山口敦雄・経済部
司法書士法人ミラシア代表の元木翼さん
司法書士法人ミラシア代表の元木翼さん

◇使える?「相続土地国庫帰属制度」専門家に聞いた(上)

 相続しても使いみちのない土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」が昨年4月に始まった。相続した土地が売れずに困っている人には便利な制度だ。適用要件が厳しく使いにくいという見方が多かったが、審査が完了した案件の承認率は9割を超えるなど「案外使える」とする評価もあり、専門家でも意見が分かれている。制度に詳しい司法書士法人ミラシア代表の元木翼さんにその評価や活用法を聞いた。2回にわけて掲載する。

 <法務省によると9月末現在で「相続土地国庫帰属制度」を使った田畑や宅地、山林などの帰属申請総数は2697件だった。うち帰属が決まったのは868件。取り下げ件数が407件、不承認が36件、却下が44件あった。一方で申請総数にはまだ完了していない案件も含まれており、審査が終わった948件(帰属件数+不承認+却下)のうち868件の帰属が決まり、審査の合格率が9割を超える>

 ――相続土地国庫帰属制度が始まって1年半がたちます。

 ◆「国庫帰属制度」の申請総数については、潜在的な利用者数から考えると、まだまだ少ないと言わざるを得ない。相続の現場の感覚からすると、まだまだ制度の認知度が低いように感じる。制度の需要は高いので、申請者がスムーズに手続きを進められるような環境を整備することや制度のさらなる周知が求められるだろう。

 そもそも知られていないだけでなく、申請手続きの複雑さや申請書類の多さが負担となっている印象を受ける。売れない不動産の処分にはできるだけ費用をかけたくないと考えるのが普通なので、申請書類の作成を弁護士・司法書士などの専門家…

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経済部

1974年生まれ。明治学院大法学部卒、同大大学院経営学修士。ビジネス誌「週刊エコノミスト」編集部記者、毎日新聞出版図書第二編集部編集長、学芸部を経て経済部。メガバンク、財界、デジタル庁、経済プレミア編集長を担当。現在、財務省と内閣府を担当。著書に「楽天の研究」(毎日新聞社)がある。