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「京成と新京成」「南海と泉北」二つの合併が予見するもの

土屋武之・鉄道ライター
京成千葉線に乗り入れた新京成電鉄の電車=筆者撮影
京成千葉線に乗り入れた新京成電鉄の電車=筆者撮影

 国土交通省は2024年11月1日、関西の南海電気鉄道(南海)が泉北高速鉄道を吸収合併することを認可した。これにより、25年4月から泉北高速鉄道は「南海泉北線」として再出発を図ることが確定した。

 これに先駆け、関東の京成電鉄(京成)が新京成電鉄を吸収合併することも認可されており、同じく25年4月から新京成電鉄は「京成松戸線」となる。

 泉北高速鉄道は南海、新京成電鉄は京成が100%出資する子会社だ。同時期に関東と関西で同じような合併が行われることになる。こうした流れはいずれ、他の大手私鉄に波及するかもしれない。

共通点は「直通運転」

 吸収合併自体は産業界全体で見ればよく聞く話だ。だが、車両を保有し、列車の運行を行っていた鉄道会社を大手私鉄が吸収し、自社路線とした例となると近年では珍しい。1998年、千葉急行電鉄が京成に事業を譲渡し、京成千原線として再出発したケースがあるが、これは債務超過に陥った千葉急行電鉄の清算、救済が目的だった。

 今回、親会社に吸収される両社は、経営上の大きな問題があるわけではない。経営の効率化、意思決定の迅速化などが目的とされる。

 その中で両社に共通するのは、親会社の路線とすでに直通運転している点だ。利用客への直接的な影響が大きいところでもある。

 新京成電鉄は社名の通り、設立時から京成の子会社だ。京成千葉線へも乗り入れており、松戸方面と千葉市内を乗り換えなしで結ぶ。

 泉北高速鉄道は南海高野線との相互直通運転を前提に建設され、71年の開業時から事実上、一体的な列車運行を行ってきた。もともとは大阪府などが出資する第三セクター会社だったが、14年に南海へ株式が譲渡され、現在は同社の完全子会社となっている。

運賃への不満

 いずれも輸送サービス上、親会社と密接な関係にあるにもかかわらず、これまで別会社となっていたため、利用客にとっては不合理な面があった。代表例は会社間をまたいで直…

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鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。