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106万円は壁なのか?より深刻な「女性の低年金」問題

渡辺精一・経済プレミア編集部
=Getty Images
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 政府は2025年の年金改正で、パートタイムで働く人が社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する要件を広げる方針だ。現在、加入の目安は年収106万円。それを超えると「保険料分の手取りが減る」として、働く時間を抑える動きがある。だが、将来の年金額は現役時代の働き方に連動しており、就業調整は「高齢女性の低年金」をもたらすという深刻な問題がある。

適用拡大は「パート労働者の保障充実」

 パートで働く人に社会保険料が生じる年収水準には、現在「130万円」と「106万円」がある。「年収の壁」とひとくくりにされがちだが、意味が違う。

 公的年金の加入者(被保険者)は「1号、2号、3号」の3タイプがあり、日本に住む20~59歳の人はどれかに当てはまる。

 会社員などは「2号」として、厚生年金・健康保険に加入するのが原則だ。雇われて働く立場では、老後や病気になると生活に困るため、保障を厚くする狙いだ。将来の年金は、国民共通の基礎年金に加え、現役時代の賃金に応じた報酬比例部分が上乗せされる。

 だが、例外がある。

 ひとつは、所定労働時間週30時間未満のパート労働者を例外とするルールだ。自営業者と同じ「1号」となり、加入先は保障の薄い国民年金・国民健康保険になる。将来の年金は、基礎年金だけの低年金になる。

 もうひとつは、会社員の配偶者の扱いだ。年収130万円未満なら、扶養家族として健康保険に保険料なしで加入でき、公的年金は「3号」として、本人の保険料なしで基礎年金が受け取れる。

 かつて専業主婦の公的年金加入は任意で、加入せずに老後に無年金となり、生活に窮する問題があった。その救済として1986年に設けたの…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。