A夫さん(42)は従業員10人ほどが働く物流倉庫で、倉庫作業員として荷物の搬入や出荷、商品の仕分けなどを行っています。当初は派遣社員として働いていましたが、半年ほど前に契約社員になりました。最近、赴任した上司から突然、「大掃除」を命じられ、悩んでいます。
先日、倉庫の責任者が交代し、勤続40年のベテラン社員のB介さん(60)が新たな責任者になりました。B介さんは着任するなり、朝礼で「こちらの倉庫は、整理整頓が行き届いていないようです。事故防止と環境整備の観点から、今後は清掃を徹底したいと思います」と言いました。
さらに数日後、B介さんは「清掃の件について、本社と相談しました。来週は荷動きが少なそうなので、営業日を1日使って大掃除をします」と言い出しました。A夫さんは倉庫の外壁の洗浄や窓ふき、敷地内の草取りをすることになりました。
A夫さんは驚きました。自分は倉庫作業員として働いているのであって、清掃員ではありません。寒空の下、外で作業をすることは耐えられません。A夫さんは納得できず、大掃除の日は有休をとろうかと考えています。
今の職場は悪くないが
A夫さんは1年ほど前、今の会社から契約社員になることを打診された際、「業務内容が変わらず、給料が少しでも上がるのなら、契約社員を希望します」と答えました。会社からは「業務内容は基本的に今と同じです。契約社員になると賞与があるので給料は上がると思います」と言われました。
契約社員になってからは、本社の研修や会議に参加したり、アルバイトに仕事を教えたりすることがありました。でも、日常の業務は派遣社員として働いていた時と大きく変わらず、A夫さんは安心していました。
A夫さんは新卒で働いていた前の会社で、当時の上司から次から次へと言い渡される業務を処理しきれず、体調を崩して退職した経験があります。このため、他者との関わりが少なく、決まった作業を淡々とこなす仕事が…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/







