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「社員雇いたい」28歳個人事業主が直面した社会の現実

井寄奈美・特定社会保険労務士
=Getty Images
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 A介さん(28)は個人で動画制作の仕事をしています。昨年から業務の依頼が増え、アルバイトを雇ったりしてきました。今年は大きな契約が決まりそうなこともあり、そろそろ一人でやるのは限界だと感じています。そこで事業を法人化して、社員を雇おうと考えるようになりました。でも、そこである現実に直面しました。

 A介さんはこれまで一緒に仕事をしたことがあるB太さん(29)に「うちで一緒に仕事しないか」と声をかけてみたところ、「社会保険加入で給料は手取り25万円を保証してもらえるのなら一緒にやりたい」と言われました。

 A介さんは個人事業のため社会保険には加入していません。さらに「手取り25万円」で社員を雇うには給料をどう設定すればよいのかわかりません。社員の給料となると、売上の多寡に関わらず、一定額を支払い続ける必要が生じます。会社の負担はどれくらいになるのかも気になっています。

社員の給料を決めるには

 A介さんがB太さんを雇う場合の給料を試算してみましょう。社員の給料は「基本給25万円」「通勤手当は1カ月の通勤定期代」など、会社が支給する額(総支給額)を先に決めるのが原則です。総支給額から、社会保険料、所得税、住民税など控除額を差し引いた額が社員の手取り額になります。控除額は総支給額や扶養家族の数から計算することになります。

 B太さんの要望である「手取り25万円」を実現するためには、まず仮の総支給額を決めて、控除額を計算します。そこからいろんな金額を調整した上で、総支給額を確定することになります。

 控除額のうち、所得税を計算するためには対象社員の扶養家族の人数を確認する必要があります。住民税については、現在負担している額を本人に確認する必要があります。

 B太さんに扶養家族はいません。月々の住民税負担額が1万円、手取り25万円に含まれる通勤交通費が1万円として、会社の負担額を計算してみます。

会社の負担はどう…

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