東京都内に住むTさん(79)は、父母の相続で苦労した経験を持つ。バブル期の父の相続では納税額の工面に苦しみ、7年前の母の相続では遺産分割をめぐり妹と確執があった。自分の相続では家族に迷惑をかけないよう、きちんと対策を打っておきたいと考えている。
地価高騰のバブル期「納税額」の苦しみ
Tさんの父が亡くなったのは35年前、バブル末期のことだった。
相続人は、母とTさんと妹の3人。相続財産は、自宅の土地建物と、その隣接地に建つアパート1棟と現預金だった。広い自宅敷地には母屋と離れの2棟があり、離れにはTさん家族が住んでいた。
地価高騰のあおりを受け、土地の評価額は驚くほど高くなり、相続税も多額になった。
納税額を軽減するため、配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減など、節税につながる特例をフルに活用し、財産分けでは、土地の多くを母が引き継いだ。
それでも納税額は、父が残してくれた現預金では到底及ばなかった。
Tさんらは自身の預貯金を取り崩したが、それでも足りず、さらにアパートの底地を物納することになった。その手続きも大変だった。当時は底地物納の要件が厳しく、地積測量で隣地境界を念入りに確認され、地代として固定資産税の3倍程度で賃貸借契約を締結した。ようやく物納を終えたときは、心底ほっとしたものだ。
バブル崩壊で、その後地価が下落し、底地の払い下げ価格が安くなったため、Tさんは底地を買い戻すことができた。だが、あの苦労は決して忘れることはできない。
「2分の1を譲らず」妹との対立
7年前には母が亡くなり、相続が開始した。父の時のような納税の苦労はなかったものの、今度は遺産分割をめぐ…
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