中国国内の治安が急速に悪化しているのは、中国経済の停滞が深刻化し、失業率なども増加しているからです。
習近平政権は2024年の実質GDP(国内総生産)成長率の通年目標を「5%前後」としていました。しかし、中国国家統計局が定期的に発表する数字が、芳しくありません。個人消費、投資、不動産などかつての中国の経済成長を牽引(けんいん)してきた経済指標も軒並み低調です。
若年失業率も、23年6月時点で21.3%と過去最高水準に達しています。このとき、中国国家統計局は、失業率の公表をいったん中止し、同年12月からは若年層の区分から学生を除く変更を行って、公表を再開しました。
その数値も、24年は6月に13.2%、7月には17.1%、8月には18.8%と上昇し、統計区分変更後も悪化していきましたが、9月に17.6%となり、低下しています。
急速に冷え込む経済と雇用状況を受けた習近平政権は、最近になってようやく景気刺激策を打ち出しはじめました。
例えば、24年5月からは不動産不況への対策として、地方政府が住宅の在庫を買い取り、不動産企業の資金繰りを支援する方針を発表しました。
また、7月には、車や家電の買い替えを促す補助金を増額することも発表しています。しかし、これらの対策を講じても、補助金の規模が小さいためか目立った効果は得られませんでした。
さらに9月には、中国人民銀行(中央銀行)が大規模な金融緩和策を発表しましたが、その効果は現在のところ株価を乱高下させただけにとどまっています。
長らく景気後退が指摘されていたにもかかわらず、習近平政権はつい最近まで景気対策を講じてきませんでした。それは、習近平氏が「共同富裕」という方針を掲げているからです。
これは、中華人民共和国の「建国の父」とされる毛沢東が唱えたスローガンで、「みんなで平等に豊かになろう」というものです。しかし、豊かさが平等ということは、個人が頑張っても頑張らなくても結果は同じということです。実際、労働生産性は上がらず、国が貧しくなりました。
そこで、毛沢東の後に最高指導者となった鄧小平は「先富論」というスローガンを打ち出…
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