高齢化時代の相続税対策 フォロー

兄の死で「94歳母の財産急増」相続対策間に合うか?

広田龍介・税理士
=Getty Images
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 A子さん(68)は昨年、唯一のきょうだいである兄を亡くした。兄は独身で子はなかったため、財産のすべては相続人である母(94)が引き継いだ。高齢の母の財産が大きく増えてしまったことから、A子さんはその相続対策を早急に行う必要に迫られている。

父の相続は納税で苦労

 17年前にはA子さんの父が他界している。その相続人は母と兄、A子さんの3人。兄は両親と同居していた。

 相続財産は、両親の自宅敷地・建物と近隣に所有していた土地、有価証券、預貯金だった。実家は幹線道路に面し、面積も広いため、評価額はかなり高額になった。

 相続税では、税額を減らすことのできる特例がある。居住用の小規模宅地等の特例は、亡くなった人が自宅に使っていた宅地を同居親族らが相続する場合、330平方メートルまでは評価額を8割減らすことができる。また、配偶者の税額軽減の特例は、1億6000万円か、配偶者の法定相続分相当額の高いほうまでが非課税となる。

 父の相続では、この二つの特例をフルに活用して税額を抑え、近隣の土地を売却して納税資金を確保することで、なんとか乗り切った。

 この結果、実家敷地の持ち分は、母が10分の5、兄が10分の3、A子さんが10分の2の共有状態となった。将来、母が亡くなった際には、兄とA子さんが財産を相続する「2次相続」も考慮した内容だった。

母の持ち分は10分の8に

 ところが、兄はがんを患い、高齢の母よりも先に亡くなってしまった。71歳だった。独身で子のない兄の法定相続人は母だけで、兄のすべての財産を相続することになった。

 その結果、実家敷地の母の持ち分は10分の8と大きく増えることになり、その…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。