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池上彰氏「なぜ北朝鮮はロシアに兵士を派遣したのか」

池上彰・ジャーナリスト
金正恩朝鮮労働党総書記=AP
金正恩朝鮮労働党総書記=AP

 ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアと北朝鮮は急速に関係を強めています。

 2023年9月には、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記がロシアを訪問し、ロシア極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地でウラジーミル・プーチン大統領と会談。ロシアとの蜜月を国内外にアピールしました。

 そして、24年6月、今度はプーチン氏が北朝鮮の首都・平壌を訪問し、金正恩総書記と再び会談しました。プーチン氏の北朝鮮訪問は、大統領に就任した00年に当時の北朝鮮の最高指導者・金正日氏と会談したとき以来。実に24年ぶりです。

 会談で両首脳は、「包括的戦略パートナーシップ条約」に調印しました。この新条約には、一方が武力侵攻を受けて戦争状態になった場合に「軍事的およびその他の援助を提供する」と明記されていました。これは、冷戦時代の同盟関係の事実上の復活です。

 プーチン氏は北朝鮮に対し、「軍事技術の提供も排除しない」との考えを表明。西側諸国に対抗して軍事面での協力を強めることを確認しました。また、「ウクライナ政策含め、ロシアに対する一貫した揺るぎない支持を高く評価する」と述べ、次回の会談をロシアの首都モスクワで開くことを提案。

 これに対し金正恩氏は、「ロシアに全面的な支持と連帯を表明する」と応じました。

 ロシアはウクライナ侵攻で武器や兵員が不足している状態が続いています。

 そのため、北朝鮮に食料や燃料、外貨、軍事技術などを提供し、その見返りとしてウクライナの戦線に投入する砲弾や装備を調達しようというわけです。

 24年10月23日、北朝鮮軍の兵士がロシアに派遣されていることが明らかになりました。アメリカのカービー大統領補佐官{当時)は記者会見で、「10月初旬から中旬にかけて北朝鮮の兵士少なくとも3000人がロシアに渡り、ロシア東部の複数の軍事施設で訓練を受けている」との分析を公表しました。

 そして米国防総省は10月28日、ロシアに派遣された北朝鮮の兵士が計1万人に達したとの分析を明らかにしました。

 すでにウクライナの戦場では、ロシア軍が使用した砲弾やミサイルの中に北朝鮮製のものが確認されていましたが、軍事協力がさらに進んで、北朝鮮からロシアに兵力まで提供されたことになります。

 兵士不足に悩んでいたロシアが北朝鮮軍兵士を得て、彼らをウクライナの最前線に投入するようになれば、戦況がロシアの有利に傾く可能性があります…

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ジャーナリスト

 1950年、長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、73年にNHK入局。94年から11年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役を務め、わかりやすい解説が話題になる。2005年よりフリーのジャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍などで幅広く活躍。現在、名城大学、東京工業大学など6つの大学で学生たちの指導にもあたっている。