スマートフォン時代になって生まれた新しいビジネスは、枚挙にいとまがない。マンガ業界で言えば、韓国発の「縦スクロールコミック」(縦スク)が、スマホに対応した新しい縦読みのマンガの形態として登場した。
韓国では1990年代にレンタルコミックの影響で紙のマンガ市場が縮小。仕事を失ったマンガ家に手を差し伸べたのが、韓国IT大手のネイバーの創業メンバーのキム・ヤンド氏だった。パソコンやスマホの画面で縦方向にスクロールしてマンガを読むWEB TOON(縦スク)の形式を作ったキム氏だが、縦スクは最初、ポータルサイトに客を呼び込むための手段に過ぎなかった。
その縦スクの人気作が実写映像化され、専用アプリが生まれたことで課金ができるようになり、コストをかけてもペイできる専門のスタジオが誕生する土壌になった。
特に韓国ドラマの「梨泰院クラス」など、縦スクを原作とする実写ドラマが次々と大ヒットを記録したことで、映像作品の原作供給源として注目度が高まった。
日本企業も続々参入
この流れを受けて、マンガを横方向に読む文化が根付く日本でも縦スクに参入する企業が急増した。IT大手のサイバーエージェントが運営するSTUDIO ZOON(ZOON)もそのひとつだ。
出版大手の講談社でマンガ編集者として活躍し、2023年にZOONに移籍した村松充裕編集長は「10年に中国を訪れて現地のマンガ家や編集者と話した時は、皆日本式のマンガに敬意があり自分たちも作っていきたいという意欲もありました。しかし、16年に中韓を訪れた時には、すでに日本式のマンガはあまり読まれておらず、皆スマホで縦スクを読んでいました」と語る。
さらに村松編集長は16年ごろに講談社に見学に来た韓国の修学旅行生にヒアリングしたところ「日本のマンガは読み方がわからない」と語っていたことにもショックを受けたという。「中韓ではすでにマンガの文法がわか…
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