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なぜ原発賠償を電気料金上乗せ? 高裁判決への不満と疑問

川口雅浩・経済プレミア編集部
託送料金をめぐる行政訴訟の控訴が棄却され、福岡高裁前で「思い届かず」などと書かれた紙を掲げる弁護士ら=福岡市中央区で2025年2月26日、金澤稔撮影
託送料金をめぐる行政訴訟の控訴が棄却され、福岡高裁前で「思い届かず」などと書かれた紙を掲げる弁護士ら=福岡市中央区で2025年2月26日、金澤稔撮影

原発の賠償費用上乗せを考える(3)

 「福岡高裁は根拠を示さずに『国の主張には正当性がある』などと判断した。経済産業省の原発推進政策をそのまま追認したような判決だ。原発事故の賠償や廃炉の費用を電気料金に上乗せする今の制度に疑問を持つ人々が、これで納得するだろうか」

 東京電力福島第1原発事故の賠償費用と全国の老朽化原発の廃炉費用について、政府は原発を持たない新電力の契約者にも、2020年度から送電線の使用料(託送料金)に上乗せして負担を求めている。この制度には疑問の声がある。

 新電力の「グリーンコープでんき」(福岡市)は、託送料金に賠償と廃炉費用の上乗せを認めたのは違法だとして、国に認可取り消しを求める行政訴訟を行ってきた。その控訴審判決で福岡高裁(久留島群一裁判長)は2025年2月26日、1審の福岡地裁判決(23年3月)を支持し、原告側の控訴を棄却した。

 冒頭の発言は、福岡高裁の判決文を読んだグリーンコープ関係者の言葉だ。グリーンコープは西日本などに約43万世帯の組合員がいる生協で、電気の小売り事業も行っている。

託送料金の「適正な原価」とは?

 今回の控訴審で原告側弁護団は、八田達夫・大阪大名誉教授の意見書を基に、原発事故の賠償費用と廃炉費用を託送料金の原価に含めるのはおかしいと「原価論」を展開した。八田氏は政府の電気事業審議会の専門委員や電力・ガス取引監視等委員会の初代委員長を務めた経済学者だ。

 控訴審で八田氏が提出した意見書は多岐にわたるが、いずれもこれまでの「政府見解に対する反論」だった。

 八田氏は託送料金について「(施設の建設費や維持運営費など)送電費用のみに基づいて算定すべきだ。(政府が定めた託送料金の原則は)送電費用以外の費用を上乗せすべきでないと明示している」と、意見書で指摘した。このため弁護団は「託送料金の適正な原価は送配電に必要な原価に限られる」と主張した。

 これに対して、福岡高裁は…

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経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。