日本銀行の植田和男総裁が0.5%への政策金利の利上げを決めた1月の金融政策決定会合から1カ月半が経過した。その間、日銀のタカ派な情報発信を受けて、市場では利上げ前倒し観測がにわかに高まっている。事前予想を上回る経済指標も相まって、10 年物国債の利回りは一時15年ぶりの水準となる 1.455 %まで上昇した。
日銀の植田総裁は「急激に上昇する例外的な状況では機動的に国債買い入れの増額を実施する」と市場の動きをけん制。この発言を受けて、ひとまず金利上昇には歯止めがかかったものの、市場の金利上昇懸念はいまだくすぶっているのが現状だ。
「物価の上振れ」が利上げ観測を後押し
日銀の情報発信とともに、市場の利上げ前倒し観測を支えているのが「物価の上振れ」だ。
実際、日銀は1月の展望リポートで、円安に伴う輸入物価の上振れなどを理由に、2025年度の物価見通しを従来の1.9%から2.4%に大きく上方修正した。4月以降も2%目標を上回る物価上昇圧力が続くとの見立てを示したことになる。日銀自らが、物価目標を4年連続で上回ることを認めた形で、物価目標を上回っているなら、外部環境に大きな変化がない限り、利上げを続けるとの市場の反応も自然な流れと言える。
事実、消費者物価は足元で上昇ペースが加速している。1月の消費者物価指数(総合)は前年比4.0%と2年ぶりに4%台を記録。変動の大きい生鮮食品やエネルギーを除くベースでも伸びが高まった。
国産米など食料品価格高騰が押し上げた格好だが、サービス価格も緩やかに上昇しており、賃上げによる人件費負担の一部を価格に転嫁する企業が増えていることも物価上振れを後押ししている。
また、帝国データバンクの調査によると、25年に「ベースアップ」を予定する企業割合は56.1%と過去最高を更新しており、賃上げ余力が懸念された中小企業でも、労働力の定着・確保に向けて賃上…
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