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東電がテロ対策延期でも柏崎刈羽原発再稼働 なぜ前のめり?

川口雅浩・経済プレミア編集部
東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機=新潟県刈羽村で2023年11月6日、佐久間一輝撮影
東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機=新潟県刈羽村で2023年11月6日、佐久間一輝撮影

柏崎刈羽原発どうなる(1)

 東京電力は柏崎刈羽原発7号機(新潟県)のテロ対策施設の完成予定を2025年3月から29年8月に延期すると発表した。工事が想定より難航しているのが原因だが、東電はテロ対策施設が完成しなくても、今夏までの再稼働を目指すという。一体どういうことなのか。

 「7号機の特定重大事故等対処施設は、これまで実施したことのない工事で、非常に大規模な工事のため、工期について見通すことが難しい状況だ。工程については精査中のため、現時点の目処として29年8月と見込んでいる」

 柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は25年2月27日の記者会見で、テロ対策施設の完成が大幅に遅れると発表した。

 「特定重大事故等対処施設」(特重)とはテロ対策施設のことで、政府が新規制基準で設置を義務付けた。テロなどで意図的に航空機が衝突した場合でも、原子炉圧力容器へ注水できる機能などを備えた緊急制御室を原子炉建屋から離れた場所に建設することになっている。

 ただし、特重の建設には時間を要すことから、原子力規制委員会は再稼働に向けた工事計画の認可から特重の完成まで5年間の猶予期間を設けている。柏崎刈羽原発の場合、7号機は25年10月、6号機は29年9月が特重の設置期限だ。設置期限までは猶予期間として原発を再稼働できるが、期限までに特重が完成しなければ、規制委が運転停止を命じることになる。

「安全を最優先に地元の理解を得る」はずなのに

 7号機の場合、当初25年3月だった特重の完成予定が29年8月にズレ込み、25年10月の設置期限を大幅にオーバーすることになる。

 従って7号機の再稼働も29年8月以降になるのだろうと筆者は思った。東電がよく口にする「安全を最優先に地元の理解を得る」のであれば、特重の完成を待って再稼働するのが筋ではないか。

 ところが、東電は25年10月の設置期限までの間、わずかな期間であっても7号機の再稼働を目指すのだという。7号機は…

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経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。