2025年は、日韓国交正常化から60年の節目の年です。22年5月に尹錫悦(ユンソンニョル)氏が大統領になってから、それまで冷え込んでいた日韓関係は急速に改善に向かいました。23年3月には尹大統領が日韓関係の最大の懸案となっていた徴用工問題について「解決策」を発表。岸田文雄首相(当時)と首脳会談を行い、長らく途絶えていた「シャトル外交」が再開されました。
尹大統領は、いわゆる「日本の戦争責任」について、「日本はこれまでに何度も謝罪してきたではないか」という発言をしています。尹大統領が韓国の野党やメディアから強い批判を受ける可能性があるにもかかわらずこのような発言をしたことには、「リスクを負ってでも日韓関係を改善しなくてはならない」とする尹大統領の強い意志が見て取れます。
尹大統領はまた、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出をめぐって、「国際原子力機関(IAEA)による科学的かつ客観的な見解を重視する」と述べ、日本の立場に理解を示しています。中国が科学的根拠に乏しい批判を展開し、日本産水産物の輸入を全面禁止したこととは対照的です。
このような韓国からの歩み寄りを受けて、23年5月に広島で開催されたG7サミット(主要7カ国首脳会議)では、議長国の日本が尹大統領をG20(金融・世界経済に関する首脳会合)の一員として招待しました。このサミットでは尹大統領と岸田首相(当時)が韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献花をしました。韓国の現職大統領が韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献花するのは初めてのことでした。
韓国人の原爆被害者に関しては、24年10月にノーベル平和賞に選ばれた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が、授賞式出席者に韓国の被爆者も含めたことなども、韓国では好意的に報じられています。
日韓関係がこのように急速な雪解けを迎えている背景には、「北朝鮮の脅威」という共通課題があります。
先に述べたように、近年、北朝鮮はロシアと急接近し、脅威が増しています。金正恩朝鮮労働党総書記は、ロシアに北朝鮮の兵士を派遣し、その見返りとしてロシアから技術支援を受けて核と弾道ミサイルの開発を加速する腹づもりです。
24年10月、北朝鮮が韓国を「第一の敵対国、不変の主敵」と明記した憲法改正を行ったことが報じられました。これは、金正恩総書記が、長年目標として掲げてきた南北の平和統一を放棄したことを…
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