Sさん(85)は妻(87)と夫婦二人暮らし。バブル期のさなかの38年前、父親から相続した店舗併用住宅の実家を高値で売却し、自宅を新築して、アパート経営に転業した。しかし、今ではその自宅とアパートも老朽化が進み、相続対策もあって、建て替えか売却かの判断を迫られている。
母ときょうだい5人で実家を共有に
父親から相続した実家を売却したのは1987年。Sさんが47歳のときだった。
実家は東京都内の商業地にあり、1階は文房具店、2階が住宅という構成だった。Sさんは姉4人を持つ末っ子の長男で、姉4人は結婚して家庭を持ち、Sさん夫婦は実家で両親と同居していた。
父親が亡くなると、文房具店の経営はSさんが引き継ぎ、土地・建物は、母親が2分の1、きょうだい5人で残りの5分の1ずつを所有する共有状態とした。
法定相続分通りの分割にしたのは「きょうだいは平等に」という思いを込めたためだ。末っ子のSさんは、自分だけが実家に残り恩恵を受けていることに負い目を感じていた。
こうして、Sさんは夫婦で家業にいそしんだが、だんだんと状況は変わってきた。地域では子どもの数が減り、事業運営が厳しくなったのだ。ついには、最寄りの小学校が廃校となったことが決定打になり、廃業を決意した。
Sさんは母と姉4人に集まってもらい、文房具店の商売はあきらめると告げ、実家を売却して、共有状態も解消したいと提案した。
姉たちもSさんの事情をくみ取ってくれた。思い出のある実家を手放すことにはさびしさもあるが、土地を有効活用してマンションに建て替えるとしても、かなりの資金が必要となり、現実的ではない。売却で資産を組み替えて現金化す…
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