イスラエルと衝突しているのは、イスラム組織ハマスだけではありません。アラビア半島南端のイエメンを拠点とする武装組織「フーシ派」もイスラエルを敵視しています。近年、フーシ派は、スエズ運河につながる紅海とその周辺で、イスラエルや欧米の船舶に対してミサイルやドローン攻撃を繰り返しています。
2023年11月、トルコからスエズ運河を経由してインドへ自動車を運搬していた日本郵船のチャーター船が、フーシ派に襲撃される事件が発生しました。
戦闘員がヘリコプターから降りてきて船を制圧する様子を映した動画を、フーシ派自らが公開しています。船の所有会社の創業者がイスラエル人だったことから、フーシ派は「イスラエルに関わる船だ」として乗っ取りを決行したといいます。
スエズ運河は年間約2万隻が行き交う海上交通の要所で、世界中の船に利用されています。しかし、フーシ派による船舶攻撃が始まったことで、多くの船舶がアフリカ南端の喜望峰を回るルートに迂回(うかい)することを余儀なくされました。
そもそも、フーシ派とはどのような存在なのでしょうか。フーシ派は、イエメンの北部に居住するイスラム教シーア派の一派で、正式名称を「アンサール・アッラー(神の支持者)」といいます。
イエメンの政府と対立し、初期の指導者だったフセイン・バドルディン・フーシが政府軍によって暗殺されたことで武力闘争となり、以来、彼らはフーシ派と呼ばれるようになりました。現在はフセイン・バドルディン・フーシの弟であるアブドルマリク・フーシが指導者を務めています。
イスラム教は、大きく分けてスンニ派とシーア派という二つのグループがあり、国によっては両派の指導者同士が争っています。イエメンもそのような国の一つで、スンニ派とシーア派の内戦状態が続いています。
イエメン内のスンニ派は、同じスンニ派の一派であるサウジアラビアが支援し、シーア派は同じシーア派の大国であるイランが支援しています。サウジアラビアもイランも自国の影響力を広げたいという目的があります。イエメンの内戦は、サウジアラビアとイランの代理戦争でもあるのですね。
イスラエルとハマスの戦争が始まり、イスラエルはガザ地区へ激しい攻撃を行ってきました。これはハマスを標的にしたものですが、ガザ地区は人口が過密ですから、多くの一般市民が巻き添えになって亡くなっています。ガザ地区の住人のほとんど…
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