日産自動車の新たな社長兼最高経営責任者(CEO)に就任が決まったイバン・エスピノーサ氏(46)はどのような人物か。業績悪化に歯止めをかけ、ホンダとの経営統合協議打ち切りで失った自信を取り戻す経営手腕がメキシコ人新社長にはあるのか。
質問を5人で打ち切り
エスピノーサ氏は3月11日にオンラインで行われた社長交代会見に登場した。取締役会議長の木村康氏、3月末で退くことになった内田誠社長と並んで座った。
まず木村氏が社長交代とエスピノーサ氏を選んだ理由を説明。続いて内田氏が退任の弁を述べた。最後にエスピノーサ氏が「任命を聞いたばかりで多くを語ることはできない」と前置きして口を開いた。英語で、日本語の同時通訳がつき、次のように語った。
「困難な時期に取締役会が私を信頼し会社を率いるよう要請したことに感謝したい。日産はこんなものではないと心から信じている。この会社に安定性と成長性を取り戻していきたい」
1分10秒あまりの短い社長就任スピーチだった。続いて報道陣からの質疑が行われた。だが、質問の指名を受けたのは5人だけ。司会者が質疑を打ち切り、たったの22分間で終了した。
質疑でエスピノーサ氏が答えたのは2回。それも「任命を聞いたばかり」の繰り返し。米国、中国での今後の事業の課題について聞かれると、両国での販売車両のラインアップ強化に触れたが、それもさわり程度だった。合わせて3分30秒ほどの短い回答にとどまった。
まるで「借りてきた猫」
日産のような大きな会社の社長交代には似合わない、極めて短い記者会見だった。課題が山積し、窮地にある会社のトップに就任するにしては準備不足。エスピノーサ氏自身が、まさか社長の重責を担うとは思っていなかったような印象を受けた。まるで「借りてきた猫」のような振る舞いだった。
ただ、日産社内で聞く普段のエスピノーサ氏は大きく異なる。人当たりがよく、活発で…
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