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実は完成が見通せない?東電が語った原発テロ対策施設の行方

川口雅浩・経済プレミア編集部
東京電力柏崎刈羽原発7号機の原子炉格納容器の入り口=新潟県刈羽村で2023年11月6日、佐久間一輝撮影
東京電力柏崎刈羽原発7号機の原子炉格納容器の入り口=新潟県刈羽村で2023年11月6日、佐久間一輝撮影

柏崎刈羽原発どうなる(3)

 東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)のテロ対策施設の完成時期を延期する一方、今夏にも原発の再稼働を目指す方針を明らかにし、地元・新潟県はじめ関係者に波紋を広げている。超党派の国会議員らで作る議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」は2025年3月13日、地元関係者と東電を招き、ヒアリングを行った。そこでどんな事実が浮かび上がったのか。

 東電は同17日、国が認可した経営再建プラン「総合特別事業計画(総特)」の改定版を公表。従来の計画では柏崎刈羽原発を最大3基再稼働させることを想定していたが、改定版では25年度以降、1基再稼働する想定に変更した。

 この改定に先立ち、東電は新規制基準で設置が義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重)と呼ばれる原発のテロ対策施設について、7号機は25年3月の完成予定を29年8月に延期、6号機は26年9月の完成予定を31年9月に延期すると発表した。

 特重は航空機が原発に衝突するなど重大事故が起きた場合、原子炉圧力容器へ注水する緊急制御室などを設けた施設だ。原子炉建屋から100メートル程度離れた場所に建設し、有事の際は遠隔で操作することになっている。

 ただし、原子力規制委員会は再稼働に向けた工事計画の認可から特重の完成まで、5年間の猶予期間を設けている。7号機は25年10月、6号機は29年9月が特重の設置期限だ。設置期限までは猶予期間として原発を運転できるため、東電は今夏をめどに7号機と6号機の再稼働を目指している。

「安全軽視ではないか」

 オンラインで行ったヒアリングでは、新潟市議会議員の中山均氏が「7号機が仮に夏までに再稼働したとしても、10月には停止しなければならない。特重の設置が猶予されているからといって、本来必要な機能が欠如した状態で再稼働するのは、新潟県民の安全を軽視しているのではないか」と、東電をただした。

 新潟県内の市民団体は…

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経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。