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一畑電車もデュアルシート採用 国鉄の試作から始まった歴史

土屋武之・鉄道ライター
一畑電車8000系=記事中の写真はすべて筆者撮影
一畑電車8000系=記事中の写真はすべて筆者撮影

 出雲大社(島根県)への観光路線などで知られる一畑電車(いちばたでんしゃ)が3月11日、「デュアルシート」を装備した新型車両8000系の営業運転を開始した。

 近年、このデュアルシートを備えた車両が増えている。鉄道の座席には列車の進行方向を向いて座る「クロスシート」と、車窓を背にして座る「ロングシート」があり、前者は新幹線などの長距離列車、後者は都心の通勤電車でよく見られる。

 これらを輸送状況や運行時間帯に応じて切り替えられるのがデュアルシートで、都心での導入が目立つが、信越地方の第三セクター鉄道、しなの鉄道も2020年に導入した。今回はデュアルシートの歴史を振り返りつつ解説したい。

国鉄も試作していた

 このタイプの座席は1970年代に国鉄が試作したことがあったが、実用化には至らなかった。うまくいかなかった要因の一つはロングシートの構造を基本にしたことだ。

 ロングシートは車窓からの光を遮らないよう、背もたれの高さが窓にかからないようにするのが一般的。しかしこの構造だと、クロスシートに転換したときに背もたれが低すぎて座り心地が悪い。快適性に問題があったわけだ。

 その後、しばらくデュアルシートは顧みられることがなかったが、近畿日本鉄道(近鉄)が96年、一部既存車両のクロスシートをデュアルシートに交…

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鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。