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営農型太陽光発電なぜ普及しない?現場で聞いてみた

川口雅浩・経済プレミア編集部
農業と発電を両立させる「ソーラーシェアリング」。耕作放棄地の有効活用策として期待されるが、普及には課題も多いという=神奈川県開成町で2025年3月7日、川口雅浩撮影
農業と発電を両立させる「ソーラーシェアリング」。耕作放棄地の有効活用策として期待されるが、普及には課題も多いという=神奈川県開成町で2025年3月7日、川口雅浩撮影

現地で見たソーラーシェアリング(2)

 農地に太陽光パネルを置き、農業と発電を両立させる「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」。耕作放棄地の有効活用策として、全国で普及が期待されるが、課題も多いという。先進地のひとつ、神奈川県で現場の声を聞いた。

 神奈川県小田原市周辺でソーラーシェアリングを運営する「小田原かなごてファーム」の小山田大和社長は、同市内の耕作放棄地で2016年に太陽光発電を開始。現在は同市周辺の七つのソーラーシェアリングで農業と発電を行っている。発電量は同県内で最大規模を誇る。

 ソーラーシェアリングを行うには、初期投資がかかる。小山田さんによると、太陽光パネルの規模にもよるが、発電所1基当たり1500万円から2000万円ほどかかるという。

 最新の7号機(同県開成町)は1970万円かかった。このうち、補助金は行政から735万円、農協から160万円ほど支給され、実質的な負担は1075万円だった。

 1~7号機を合わせた投資額は約9000万円だが、補助金を引いた実質的な負担額は約5500万円という。太陽光パネルの耐用年数は約40年。年間の売電収入は約920万円で、単純計算では約6年で回収できるという。

「一つ一つ階段を上ってきた」

 ところが、これらの初期投資額を金融機関から借りるのに小山田さんは苦労した。金融機関としてはソーラーシェアリングに融資した前例がないため、審査に慎重になったようだ。

 小山田さんは「金融機関は前例踏襲主義で、石橋をたたいても渡らない習性があると感じた。でも、それは『前例があれば動く』ともいえる。それなら、私がたくさんの前例を作ってやろうと思い、政府系金融機関、信用金庫、地銀、農協など、いろんな所から借りるよう努力した。一つ一つ階段を上ってきた」という。

 結果的に小山田さんは日本政策金融公庫、城南信用金庫、横浜銀行などから融資を受けることができた。

 さらに東京電力との交渉にも苦労した。住宅地から離れた農地の場合、東電の送電線と…

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経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。