K子さん(60)は15年前に離婚し、一人息子を引き取ってシングルマザーとして暮らしてきた。4年前に母が亡くなり、1人暮らしとなった高齢の父が心配で、実家で同居することにしたが、それには相続対策という意味もあった。
築40年超の老朽化マンション
K子さんは兄(64)と2人きょうだいだ。父は5階建ての賃貸併用マンションを所有しており、1階は兄が経営する店舗、2~4階は賃貸マンション、5階が父母夫婦の自宅という構成だった。マンションの管理は父母が2人でこなしてきた。
父は、K子さんと兄に、結婚のタイミングで、新居用としてそれぞれにマンション住戸を購入してくれた。K子さんは離婚後も、その父所有のマンションで暮らしてきた。
兄は、子どもはなく、妻が10年前に家を出て以来、父所有のマンションに1人で住んでいる。妻とは別居状態が続いているが、離婚は成立していないという。
高齢になった父親は、相続対策に悩んでいた。
最大の問題は、賃貸併用マンションの老朽化だった。築40年を超え、まだ使用できる状態ではあるものの「孫の代まではとても無理だろう」というのが口癖だった。
建て替えも検討したが、建築資金の捻出に加え、1階にある兄の店舗の移動が難しいことがネックとなって踏み切れなかった。結局、建物が使えるうちはこのままでいくという方針になった。
将来の後継者は孫1人だけ
その結果、相続対策としては、相続税の納税資金を確保しておくことと、K子さんと兄が現状の生活を維持できるようにすることの二つが柱となった。
また、将来の後継者は結局、一人息子のH男さんだけになるため、H男さんを孫養子にして相続人に加…
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