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「一刻も早く改善すべき」経産相が認めた東電と原電の大問題

川口雅浩・経済プレミア編集部
衆議院経済産業委員会で答弁する武藤容治経産相=国会で2025年3月26日、衆議院の公開動画から
衆議院経済産業委員会で答弁する武藤容治経産相=国会で2025年3月26日、衆議院の公開動画から

東電なぜ原電に前払い・国会編(2)

 東京電力は原発専業の日本原子力発電の発電がゼロにもかかわらず、毎年の基本料金(550億円)のほか、「将来の電力料金」として2021年度から3年間で約1400億円を前払いしている。「発電ゼロの原電を支える東電の経営は正しいのか。いつになったら原電から電気を調達できるのか」という国会議員の追及に、政府は何と答えたのか。

 この問題は2025年3月26日、衆議院経済産業委員会で議論となった。質問したのは立憲民主党の山崎誠議員だ。原電が再稼働を目指す東海第2原発(茨城県)と敦賀原発2号機(福井県)は11年5月以降、停止したまま、再稼働のめどは立っていない。

 山崎氏は原子力損害賠償・廃炉等支援機構(原賠機構)の山名元理事長に「東電はこれまで、どのくらい原電に支払いを行ってきたのか」と尋ねた。山名理事長は「個社の契約内容に当たるので、私からは回答を差し控えたい」と答えなかった。

 さらに山崎氏は「東電は何年後に東海第2原発の電気を調達するという見込みを理事長はお持ちか。10年後か、20年後か、30年後か。あといくら原電に払えば電気が調達できるか教えてほしい」と質問した。

 山名理事長は「私どもは総合特別事業計画(国が認可した東電の経営再建プラン)を3月に改定したが、その中で一定の収支計画を想定している。その中で柏崎刈羽原発と(原電からの)買電も含めて収支計画を作っていると承知している」と明言を避けた。

 そこで山崎氏は「では、経産省に聞きましょう。経産大臣、東電の原電からの調達は、どういう見込みなのか」と尋ねた。

東電の経営陣が判断すべし?

 ところが、答弁に立ったのは武藤容治経産相ではなく、経産省資源エネルギー庁の久米孝電力・ガス事業部長だった。武藤経産相は着席したまま、久米部長に答弁させるよう何度も手で合図した。

 久米部長は「まず、国が東電へ出資しているのは、賠償や廃炉をはじめ福島の責任を貫徹させるためで、個別事業の経営判断については東電が行うことが基本だ。個別の電源調達に関する契約状況、個別の事業に関わる判断については、総合特別事業計画の履行に支障がない限り、東電の経営陣が判断すべきだと考えている」と、用意したペーパーを一方的に読み上げた。

 久米部長の発言中、山崎氏は「聞いてない。聞いてないよ」と何度か抗議した。久米部長の発言後、山崎氏は…

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経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。