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50歳男性「会ったこともない父が孤独死」相続の現実

広田龍介・税理士
=Getty Images
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 Kさん(50)は母子家庭で育った。幼いころから父の記憶はなく、写真すら見たことがない。その自宅にある日、2人の警察官が訪ねてきた。

2人の警察官の来訪

 テレビニュースで、警察官をかたる詐欺が最近急増していることを知り、物騒な世の中になったと思っていたところだ。身構えていると、一人が「M男さんをご存じですか」と切り出し、Kさんは、はっとした。

 母から聞いていた父の名だった。その人物が東京都内の自宅マンションで亡くなっているのが見つかったと、警察官は告げた。

 母はすでに5年前に亡くなっている。警察は、なんとかKさんを捜し出して、連絡に訪れたのだという。

 Kさんは、父とは一度も会ったことがない。どこで、どう暮らしているのかも知らず、不思議と知りたいと思ったこともなかった。

 父は、見つかったとき、すでに死後1カ月以上が経過していたという。隣室の住人がしばらく姿が見えず様子がおかしいのではないかと気づき、マンション管理会社を通じて警察へ通報があり、発見に至ったということだった。

 父は2歳年上の妻と2人暮らしだったが、妻はその2カ月前に他界しており、後を追うような形だったようだ。警察は事件性がないことを確認しており、病死と判断されたという。誰にもみとられることなく、ひっそりと最期を迎えた孤独死だった。

自分とは縁もない「13人の相続人」

 Kさんは、父の遺品が残る部屋に入り、初めてその痕跡と向き合った。見知らぬ父とその妻だった人はここで生き、そして死んでいったのだなと思った。

 父にはほかに子がなく、法定相続人はKさんだけだった。Kさんは、父の死亡手続きが一段落すると、相続の作業に取り掛…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。