環境エネルギー最前線 フォロー

原発停止でも連続黒字「理解得られる?」原電に聞いてみた

川口雅浩・経済プレミア編集部
直下に活断層があると指摘された日本原子力発電の敦賀原発2号機=福井県敦賀市で2024年7月26日、本社ヘリから加古信志撮影
直下に活断層があると指摘された日本原子力発電の敦賀原発2号機=福井県敦賀市で2024年7月26日、本社ヘリから加古信志撮影

 原発が全基停止し発電はゼロなのに、東京電力などの基本料金で8年連続の最終黒字――。原発専業の日本原子力発電が2025年5月15日に発表した25年3月期(24年度)決算は、発電ゼロでも黒字が続く奇妙な構図が今回も浮かび上がった。これで消費者の理解が得られるのか、原電に聞いてみた。

 大手電力に電力を販売する原電は、保有する原発4基のうち、2基が廃炉作業中だ。再稼働を目指す東海第2原発(茨城県)と敦賀原発2号機(福井県)は11年5月以降、停止したまま、再稼働のめどは立っていない。

 それでも原電は毎年、安定した収益を確保している。東京、関西、中部、東北、北陸の大手電力5社が基本料金として、原電の人件費や原発の維持管理費用などを払っているからだ。このため、東電などが最終赤字に陥っても、発電ゼロの原電の黒字が続いている。

安全対策で増える基本料金

 原電が発表した25年3月期連結決算は、売上高が前期比16.8%増の1129億円、最終(当期)利益が前期比80.0%増の44億円となり、8年連続の黒字だった。

 このうち大手5社からの基本料金である電力料収入は1076億円で、23年度の944億円に比べ14%増えた。いずれも各社の電気料金に含まれ、消費者が負担している。

 なぜ基本料金(電力料収入)が増えたのか。原電に尋ねると、「東海第2原発の安全性向上対策工事に関連した修繕費などが増加した。工事に見合った分を東電などから受け取った」との回答だった。

 東電は原電に毎年支払う基本料金とは別に、東海第2原発の安全対策の工事費用として、21~23年度の3年間で約1400億円を「将来の電力料金」として原電に「前払い」している。一連の問題について、毎日新聞経済プレミアは24年8月から9月にかけ、「なぜ料金前払い?東電が『発電ゼロの原電』に1400億円」など、5回にわたり詳報している。

東電の「前払い」も続く

 24年度も原電は東電から前払い金を受け取っているのか。原電に尋ねると…

この記事は有料記事です。

残り1206文字(全文2039文字)

経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。