A太さん(52)は従業員500人ほどのメーカーで人事部長をしています。先日の経営会議で、新卒を含む若年層の給料引き上げの原資として、家族手当を見直すことが検討議題に上がりました。
A太さんの会社では、税法上の扶養家族である配偶者に月2万円、22歳以下の子ども(ただし学生に限る)1人につき月5000円の家族手当を支給しています。
見直し案として、配偶者への家族手当を廃止した上で、子どもには1人につき月1万円に引き上げることを検討しています。
この見直し案を実施した場合、家族手当が配偶者だけの社員は月2万円の減額となります。家族手当が子どもだけの社員は、1人につき5000円の増額となります。そもそも家族手当がない社員に影響はありません。新卒の初任給の引き上げが目的のため、入社5年目くらいまでの社員については、基本給が増額になる予定です。
初任給の引き上げは必要だが
A太さん自身、専業主婦の妻と大学生の息子という家族構成で、現在は家族手当を月2万5000円受給しています。予定通りの見直しとなると家族手当は月1万円となり、月1万5000円の減額となります。さらに、来年息子が大学を卒業した後は、家族手当はゼロになります。
A太さん自身は減額になっても生活に大きな影響はないと考えています。ところが30代と40代で家族手当の対象となる配偶者がいる社員にとって、最大月2万円の減額は影響が大きいのではないかという声が部内の会議で出ました。
このほか、家族手当減額の目的が「若手社員の給料の底上げ」であることについて「採用のために初任給の引き上げは必要だが、若手社員だけの引き上げとなるのかどうか。いっそのこと家族手当は全廃して、若手社員だけでなく、社員全体を底上げすべきではないか」という声も上がりました。
見直しを行うことで、家族手当を受給している社員にとっては、ほとんどがマイナスになります。そもそも家族手当を受給していない社員にとっては、…
この記事は有料記事です。
残り1177文字(全文2000文字)
特定社会保険労務士
大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/







