高齢化時代の相続税対策 フォロー

高齢父の「マンション建設計画」建築費高騰でどう引き継ぐ

広田龍介・税理士
=Getty Images
=Getty Images

 K子さん(47)の父(75)は長年、運送業を営んできたが、3年ほど前から仕事がきつく感じるようになってきた。そこで、事業を縮小し、所有する土地を有効活用して、賃貸マンションを建てる計画を立てていた。

気力を失った父

 「少し楽をして、空いた時間で温泉にでも行こう」。そんな父の提案を、母も楽しみにしていたという。

 ところが、その準備を進めていたところ、母が急に亡くなった。父はすっかりふさぎ込んでしまい、マンション建築計画を自分で進める気力も失ってしまったようだった。

 3人姉妹の長女であるK子さんは、父から「お前たちに全て任せるから、3人で話し合って、建築の話を進めてくれないか」と懇願された。

 父が所有する土地は825平方メートルある。うち495平方メートルは運送車両の駐車場、残り330平方メートルには築40年の3階建て社屋が建ち、1・2階は事務所と倉庫、3階が父の住まいだ。

 父は、駐車場部分に8階建てマンションの建築を計画しているという。建設会社からはすでに工事計画や見積もりを出してもらっており「そのまま進めてくれればいい」ということだった。K子さんら姉妹は「父の代わりに話をまとめるだけ」と気軽に引き受けた。

大きな判断を迫られた3姉妹

 だが、建設会社の担当者と実際に話してみると、父から聞いていた話とは様子が違うことがわかった。

 最近の建築資材や人件費の高騰などで、現時点での建築費用は、父に示した見積もりよりも相当高くなっていた。新たな建築価額で建築した場合、完成後に見込める賃貸収入では収支計算が合わないという。

 担当者からは「この際、計画を見直し、建築規模を大きくしてはどう…

この記事は有料記事です。

残り1155文字(全文1851文字)

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。