A子さん(52)は従業員300人ほどのメーカーに入社以来、経理部で15年働いてきましたが今春、他部に異動となりました。A子さんは経理担当としてミスのない丁寧な仕事をしてきたと自負しています。しかし、後任のB子さん(35)へ業務を引き継ぐ際、思いもよらぬ言葉を投げかけられ、困惑しています。
A子さんは経理担当としてミスがないよう細心の注意を払い、15年前に前任者から引き継いだ処理方法を守ってきました。さらに自分で工夫をして、整合性を確認する複数のシートを用いてきました。
数年前に業務ソフトが変更になり、整合性の確認は業務ソフトでもできるとのことでした。しかし、A子さんは慣れたやり方の方がミスがないと考え、以前から利用していたシートを用いてチェックを行っていました。
自分の業務「他人に引き継ぐ」視点を
そうしたA子さんのやり方を知り、B子さんは「業務ソフトが変更になっているのに、15年前に引き継いだ処理方法と並行し、整合性の確認シートを使っていることは二度手間ですね」と、半ばあきれた様子で指摘しました。
B子さんは管理部門の上司に相談し、業務処理方法の見直しについて、承認を得たようでした。しかし、長年A子さんだけが担当していた業務もあり、何度もB子さんに呼ばれ、事務処理の方法を説明することになりました。
A子さんは自分に異動があることは想定しておらず、「自分がミスしない」という視点で業務処理を進めて…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/







