国民皆年金制度では、日本に住む20~59歳のすべての人が国民年金に加入し、40年間保険料を納める。これは現行制度ができた40年前から同じだ。しかし、現在は大半の人が65歳まで現役で働く一方、大学進学率が上昇して「20歳から社会人」とみなすのも無理がある。保険料は「現役世代が負担する」原則に照らせば、加入義務期間にズレが生じている。
消えた「5年延長」の有力案
年金制度改革法案は、基礎年金の底上げ策を復活させる修正を行い、2025年6月13日に参議院で可決、成立した。底上げ策は基礎年金の給付水準の低下が見込まれることに対応するもので、実施するかどうかは29年の財政検証で判断する。
なぜ、底上げ策が必要とされたのか。ざっと確認しておこう。
公的年金は2階建て構造で、加入状況に応じて、老後、1階の基礎年金と2階の報酬比例部分を受け取る仕組みだ。
自営業者ら(国民年金第1号被保険者)が加入する国民年金と、会社員ら(同第2号被保険者)が加入する厚生年金は年金財政が別で、それぞれ基礎年金の給付資金を拠出している。
年金制度は財政が安定するまで給付水準を減らす「マクロ経済スライド」を導入し、基礎年金は国民年金、報酬比例は厚生年金の財政を元に個別に調整している。だが、このうち基礎年金のほうの調整が長引き、給付水準が下がる見通しだ。
底上げ策は、この国民年金と厚生年金の年金財政をあわせてマクロ経済スライドを調整し、基礎年金と報酬比例の調整期間を一致させる内容だ。基礎年金の調整が早く済めば、給付水準の低下が抑えられる。
だが、この方法では、今後100年間で厚生年金の積立金から基礎年金への配分が…
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