人生100年時代のライフ&マネー フォロー

認知症「金融資産の凍結リスク」証券業界の新たな提案

渡辺精一・経済プレミア編集部
=Getty Images
=Getty Images

 高齢化・長寿化が進むなか、シニアは退職後も資産運用を続け、老後資金の寿命を延ばすことが課題になっている。だが、認知症などで判断能力が不十分になると、証券口座が凍結されて資金が使えなくなる問題がある。証券業界は対応策として、口座の管理・運用を子などが引き継ぐことができる「家族サポート証券口座」の仕組みを新設した。口座凍結を避ける他の制度とどう違うのだろうか。

凍結解除の唯一の方法は「法定後見制度」

 銀行や証券などの金融口座は本人の意思で管理・運用する。本人が認知症などで判断能力が不十分になると、金融機関は資産保護のため口座取引を停止する。一般に「口座凍結」と呼ぶ。

 口座が凍結されると、家族でも資金を引き出せなくなり、証券口座では株式や投資信託の売買もできなくなる。本人の医療・介護費や生活費に充てたくても、口座の資金を使えず、家族がやむなく立て替えて対応することも多い。

 仮に、本人が認知症と診断され、口座が凍結された場合は、どうすればいいだろうか。

 凍結を解く唯一の方法は「法定後見制度」の利用だ。

 法定後見制度は、判断能力が低下して財産管理や契約が難しい人の権利を支援・保護するのが目的だ。家庭裁判所が選任した成年後見人が法的な代理人となり、家裁の監視下で本人の財産管理や身上監護(生活や医療・介護などの契約や手続き)を行う。後見人は弁護士ら専門職が就くことが多い。

 資産管理は、本人の利益を最優先する。有価証券は保全し、本人の利益にかなう場合に、必要な範囲で売却するのが一般的だ。

 だが、家族にとっては資金を使う自由度は狭まり、「他人が財産を管理する」という点に違和感を持つことも少な…

この記事は有料記事です。

残り2057文字(全文2755文字)

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。