高齢化時代の相続税対策 フォロー

バブル崩壊乗り切った不動産賃貸 今なぜ会社整理ラッシュ?

広田龍介・税理士
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 このところ、創業から50年以上になる老舗の不動産賃貸会社から「会社を手じまいしたい」という「出口戦略」の相談が増えている。すでに会社を畳む決断はしたが、その方法として、会社を清算するか、それとも事業売却(M&A)で第三者に引き継ぐかを検討している。

バブル乗り切った会社襲う「二つの老い」

 長年にわたり賃貸業を営んできたのに、ここに来て会社の幕引きを決断するのは、経営者の高齢化と所有物件の老朽化という「二つの老い」に直面していることが大きい。

 さらに、経営者が亡くなった場合、会社の株式が分散化してしまうことや、事業を引き継ぐ後継者がいないなど、相続対策という面もある。これには、コロナ禍以降、冠婚葬祭などの集まりが減り、親族間の関係が薄まっていることも影響があるだろう。

 会社整理の相談に訪れる不動産賃貸会社の多くは、戦後の高度成長期からバブル期前夜にかけて起業している。賃貸需要が高く、建物を建てれば入居するという時代だった。本業拡張のため不動産を取得し、後に賃貸事業に転業したり、個人の土地所有者が賃貸アパートからスタートし、後に法人化したりなど、ケースはさまざまだ。

 バブル崩壊で、土地神話に乗って無理な不動産投資をしていたような会社はすでに淘汰(とうた)されている。今残っているのは、苦労はしながらも、無理のない健全経営で生き残ってきた会社だが、「二つの老い」の前でその幕を下ろそうとしている。

 なぜ、会社を閉めるのか。現実問題として、建て替えのハードルはかなり高いことがある。

 法人所有の賃貸ビルやマンションを複数所有しているのなら、そのうち1棟を建て替えることになっても、他の賃料…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。