未婚率が上昇し、1人暮らし世帯が増える中、困ったときに手助けしてくれる身近な人がいない「高齢おひとりさま」が社会問題となっている。「配偶者や子どもがいても、氷上にいるようなもので安心できません。私たち一人一人の問題です」。そう指摘する日本総合研究所シニアスペシャリストの沢村香苗さんに話を聞いた。【西田佐保子】
「家族がいるから大丈夫」は本当か?
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2033年に平均世帯人数が2人を割って1.99人になることが見込まれている。50 年には、全世帯に占める1人暮らしの割合は44.3%、高齢単身世代、特に未婚者が増加し、65歳以上男性のうち22.1%が未婚となる。
そこで深刻化するのが「高齢おひとりさま」問題だ。
「家族がいるから安心」ではない。子どもがいても離れた場所に住んでいて、疎遠になっている人も多い。高齢者の2人暮らし世帯の割合も増加しており、老老介護も増えている。いつ「支え」を失ってもおかしくないのだ。
妻が病気で入院し、家事を一切しない夫が家に残され、生活が成り行かなくなるケースも少なくないのだと沢村さんは明かす。「(80代の親が50代の子どもの面倒をみる)『8050問題』も同様です。お子さんを養っている高齢夫婦のどちらかの支えがなくなると、共倒れになります」
高齢おひとりさまには、「ポイント・オブ・ノー・リターン」(帰還不能点)があるのだという。
「救急搬送され、財布や下着などを自宅に取りにいってくれる人がいない、手術の同意書を書く人がいない、退院後、階段が上れず住居までたどり着けないなど、ある出来事をきっかけに、ひとりではできないことが露呈します」
問題なく生活をしていたはずのおひとりさまが、入院などが節目となり、身近に頼る人がいない事実に気付き、いろいろなことに困り出す――。
近年、1人暮らしを楽しむ高齢者のエッセーが人気だが、実現可能なのは一握りのようだ。「高齢期に避けて通れないのが心身機能の低下です。病気になったり、認知症になったり、意思決定ができなくなる人もいます。楽しいことばかりでないのが現実です」
誰が家族の役割を担うのか?
高齢おひとりさまの困りごとは(1)賃貸住宅に入れない(2)ゴミ出しや風呂掃除といった日常生活が困難になる(3)ペットの世話が難しくなる――など多岐にわたる。生前だけでなく、死亡届の…
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