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次の米FRB議長候補に浮上「ケビン・ウォーシュ氏とは?」

鈴木浩史・三井住友銀行チーフ・為替ストラテジスト
次期FRB議長の有力候補で元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏=ロイター
次期FRB議長の有力候補で元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏=ロイター

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2026年5月に任期が満了する。利下げに消極的なパウエル議長に批判的なトランプ大統領は次期FRB議長を早期に指名する構えだ。その有力候補として元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏の名が浮上している。利下げに前向きとされるウォーシュ氏はどのような考えを持つ人物なのか。仮にFRB議長に選ばれた際の為替市場への影響を考える。

パウエル議長の「弱体化」狙うトランプ大統領

 今年4月にトランプ大統領によるFRBのパウエル議長の解任騒動が巻き起こったことは記憶に新しい。トランプ大統領は4月22日、パウエル議長を「解任する意図はない」と正式に解任そのものは否定した。しかし、「今は利下げに最適な時期だと考えている」として、利下げに消極的なパウエル議長の姿勢に対する批判は続けている。

 その後、トランプ大統領はパウエル議長に政策金利を1%程度に引き下げるべきだといった趣旨をしたためた手書きの書簡を送付していることが、ホワイトハウス報道官によって明らかにされている。

 トランプ大統領は「パウエル議長の後任を近く指名する」と6月6日に述べており、次期FRB議長指名は秒読みの段階に入った。その後、米経済紙が、トランプ大統領はパウエル議長を「弱体化」するために次期FRB議長を早期に指名する意向だと報じた。トランプ大統領は「利下げへのコミットメント」を重視しているなどとされている。

 トランプ大統領自身も6月27日に「利下げを望む人物をFRB議長に指名する」としてこれを追認。その後、ベッセント財務長官もFRB議長の後任を10月から11月にも指名すると発言している。なおベッセント氏自身も次期FRB議長候補として報じられている。

FRB理事としてリーマン・ショックに対応

 次期FRB議長の有力候補に浮上しているウォーシュ氏の経歴を簡単に振り返っておこう。

 ウォーシュ…

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三井住友銀行チーフ・為替ストラテジスト

 1981年生まれ、神奈川県出身。2004年、慶応義塾大学経済学部卒業後、三井住友銀行入行。13年、一橋大学大学院国際企業戦略研究科修士課程修了。13年~18年、シンガポール駐在。22年から市場営業統括部 調査グループ長、チーフ・為替ストラテジスト。主に為替・金利を中心とした金融市場分析およびマクロ経済分析を担当。