戸建て住宅が建ち並ぶ住宅街の中に、ひときわ広い1000平方メートルの敷地がある。敷地内には4棟の古い住宅があるが、現在居住しているのはそのうちの1棟だけで、4人きょうだいの長女A子さん(90)が1人で暮らしている。残る3棟はそれぞれ、A子さんの弟3人の住居だったが、皆転居し、今では空き家となっている。
敷地はきょうだい4人の共有財産に
この敷地には、A子さんの両親の強い思いが込められている。両親は、子どもたちが結婚しても、家族として暮らしていけるようにと願い、結婚して独立する際には「敷地内に家を建てる」という条件で住宅資金を援助した。両親の希望通り、弟3人は結婚すると敷地内に自宅を建てた。
A子さんは独身のまま、実家で両親と同居を続けた。こうして、両親と4人きょうだいの家族、計6世帯が同じ敷地内で大家族として暮らしていた。
両親が亡くなり、相続の際には「4人きょうだい平等に」という方針から、敷地は4人の共有財産になった。
しかし、時の流れとともに、亡き両親の理想とは事情も変わってきた。
弟3人の子どもらは成長すると独立して家を出て、皆、高齢夫婦だけの暮らしになった。実家の敷地は、最寄り駅から徒歩30分と高齢者にはとりわけ負担が大きい。子どもの家の近くにマンションを購入して移り住んだり、介護施設に入所したりして、敷地から離れた。3棟は空き家になり、おいやめいがときおり訪れては庭の手入れや掃除をしている。
言い出しにくかった「空き家処分」
こうして広い敷地には、A子さん1人だけがポツンと残ることになった。しかし、A子さんは、長年暮らしているこの土地を離れる気持ちはさらさらない…
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