トランプ大統領の強権的な振る舞いが、米国社会を大きく揺るがしている。相次ぐ政府高官の解任、中央銀行へのあからさまな利下げ要求、高等教育機関の締め付け、メディアや民間企業への露骨な介入、そして大統領権限を巡る司法への挑戦と、まるで独裁者かと見まがうばかりの状況だ。しかしトランプ氏の権限拡大の試みは世論の支持を必ずしも得られていない。経済は堅調ながら生活実感は改善せず、国民の政治不信は募るばかり。こうした政治と社会のねじれは、米国だけでなく日本を含む先進国全体が直面する共通課題を映し出している。
トランプ氏の暴走とまらず
トランプ氏による影響力行使の暴走が止まらない。前回の本稿で「Trump-dominated global economy(トランプが支配する世界経済)」との米ネットメディアの記事の見出しを紹介したが、その勢いはさらに加速しているように見える。
そうした中、米連邦控訴裁判所は8月29日にトランプ関税の法的根拠について、1審の米国際貿易裁判所の判断を支持し、大統領権限の逸脱と認定した。
しかし、トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)で控訴審の判断を即座に批判。「党派的な裁判所が誤った判断を下した」と、むしろ問題は裁判所にあるとして、上訴する方針を明らかにした。主張の正否は別として、共和党内はもとより、最高裁判事の3分の1を任命し、三権分立の柱である司法と立法を押さえた格好のトランプ大統領からすれば、下級審の判断は無意味とも言わんばかりの対応だ。
トランプ旋風一服も乏しい不満の受け皿
このようなトランプ政権に対し、英フィナンシャル・タイムズ(FT)コラムニストのジャネン・ガネシュ氏は「強権的な指導者に対抗する唯一の手段は選挙で勝つことだ」と指摘している。しかし、盤石な体制を築きつつある権力者に対抗するのはなかなか容易ではない。
アメリカの大統領選挙からまもなく…
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