78歳のB子さんは、数カ月前に84歳の夫を亡くしました。
夫婦には子どもがおらず、残された財産は自宅と預貯金のみです。葬儀も落ち着き、「自宅と預貯金は自分が相続することになる」と信じていたB子さんですが、その見通しは大きく覆されました。
自分だけがもらえると誤解していた
夫は7人兄弟の末っ子でしたが、親の相続トラブルが原因で、兄弟姉妹とは絶縁状態にありました。
妻のB子さん自身も、夫の兄弟姉妹とは長年没交渉だったため、その存在すらほとんど頭にありませんでした。子どもがいなかったB子さんは、夫の財産は当然、妻である自分がすべて相続するものと思い込んでいたのです。
ところが、夫名義の預貯金の解約手続きを銀行に相談した際、「お子さんがいらっしゃらない場合、ご主人の兄弟姉妹も相続人になります。相続人全員で遺産分割協議をしていただく必要があります」と説明されました。
寝耳に水のこの指摘に、B子さんはがくぜんとしました。
民法では、子や親がいない場合、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になります。
今回のケースでも、B子さんに加えて夫の兄弟姉妹全員が相続人となり、法定相続分は配偶者であるB子さんが全体の4分の3、残る4分の1を兄弟姉妹全員で均等に分け合う形です。
さらに厄介なことに、夫の兄弟姉妹のうち何人かは既に他界しており、その場合は亡くなった兄弟姉妹の子ども(おいやめい)が代襲相続人として権利を引き継ぎます。
つまり、連絡先も分からないおいやめいまで含め、相続人が多数存在する事態となってしまいました。
何とか連絡が取れたのは、夫の長兄の妻(義姉)ただ一人です。しかし、その長兄本人は重度の認知症を患っており、とても遺産分割の話し合いができる状態ではありません。
認知症で判断能力が失われている人は、自ら遺産分割協議に参加することができません。この場合、家庭裁判所で成年後見人を選任しなけれ…
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