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自民党総裁選「原発・エネルギー」5氏の意外な温度差

川口雅浩・経済プレミア編集部
自民党総裁選の立候補者討論会に臨む(左から)小林鷹之元経済安全保障担当相、茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、高市早苗前経済安保担当相、小泉進次郎農相=東京都千代田区の日本記者クラブで2025年9月24日、平川義之撮影
自民党総裁選の立候補者討論会に臨む(左から)小林鷹之元経済安全保障担当相、茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、高市早苗前経済安保担当相、小泉進次郎農相=東京都千代田区の日本記者クラブで2025年9月24日、平川義之撮影

 自民党総裁選は10月4日の投開票に向け、立候補した5氏の論戦が続いている。物価高対策などの経済政策が大きなテーマだが、原発はじめエネルギー政策で5氏は何を訴えているのか。各氏の発言を聞くと、同じ自民党のリーダーでも意外に多様な意見や価値観があることがわかる。

 総裁選に立候補した小林鷹之元経済安全保障担当相(50)、茂木敏充前幹事長(69)、林芳正官房長官(64)、高市早苗前経済安保担当相(64)、小泉進次郎農相(44)は、ガソリン税の暫定税率の廃止では意見が一致している。野党が求める消費減税に慎重なのも自民党らしく共通している。

 これに対して、太陽光発電など再生可能エネルギーや原発をめぐるエネルギー政策や経済安全保障の分野になると、5氏の発言は微妙に異なる。

小林氏と小泉氏が原発で一致?

 9月24日、日本記者クラブ主催の討論会で目立ったのは、小林氏の発言だ。小林氏は「再エネ、とりわけ太陽光発電は不安定で調整電源が必要になる。太陽光パネルは高く、特定国に依存している。小泉候補は太陽光パネルを含めたエネルギー安全保障について、どのように考えるのか」と、小泉氏を指名して質問した。

 小泉氏は「日本はエネルギーの自給率が極めて低く、海外依存度が高い。再エネ、原子力、この国産のエネルギーをいかに増やしていくかが基本的な立場だと思う」と主張。太陽光発電については「地域で環境の破壊につながるとか、希少種の保護と逆行するとか、こういったことには必要な措置、規制は私も不可欠だと思う」と答えた。

 これに対して、小林氏は「原子力を推進するところは完全に一致している。そのうえで再エネを使えば調整電源、火力(発電)が必要になるという課題が残る」などと応じた。小林氏は、原発に慎重なイメージのある小泉氏から「原発推進」の発言を引き出したかったのではないかと筆者は感じた。

 小林氏は原発に強いこだわりがあるようだ。総裁選の公約では憲法改正などと並んで、原発再稼働・新増設、国主導の高レベル放射性廃棄物の最終処分、他国依存度の高い再エネ政策の見直しを挙げている。

 9月16日の総裁選出馬会見では「太陽光パネルは政府として推進してきたが、私はもう限界に来ていると思う。平地面積当たりで主要国中トップクラスだ。再エネは現時点では高いし、不安定だ。住民との摩擦もある。私はもう国として推進するのはやめるべきだと思っている」と発言した。

 平地面積当たりの日本の太陽光発電の設置容量が世界でトップレベルなのは事実だ。再エネが高く、不安定というのは議論が分かれるところだろう。経済産業省の試算では、2023年の太陽光(事業用)の発電コストは原発より低いからだ。蓄電池のコストも低下傾向にある。

 小林氏は原発について「再稼働だけでなく、新増設は大切だと思っている。安価な電力を供給するために原子力は必須で、新増設はマストだと思っている」と記者会見で発言している。原発が安価な電力を安定供給するという考えは、旧来の自民党や経団連の主張と一致している。まるで原発事故前の自民党長老の発言を聞いているようだった。

 これに対し、小泉氏は…

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経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。