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両親の墓をどうする?73歳男性が描く「これからの供養」

広田龍介・税理士
=Getty Images
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 Hさん(73)は、大学進学を機に地方から上京し、卒業後は東京の企業に就職、結婚して家庭を築いた。今も都内で妻(70)と暮らしている。

3世代同居だった実家

 きょうだいは妹が1人おり、地元で生活している。地元の企業に就職し、結婚後は、実家を離れて賃貸アパートで家庭を持ち、3人の子どもをもうけた。

 両親は、子どもがいなくなった家が広すぎて寂しいと感じ、賃貸暮らしの妹家族に声をかけ、実家に呼び戻して、一緒に暮らすことになった。

 3世代同居となったものの、父と妹の夫との間には、どうも波長が合わないところがあった。お互いに気をつかいながら距離をとるような暮らしぶりが続いた。

 それでも両親にとっては、かわいい孫と毎日顔を合わせて生活する喜びが勝っていた。食事の時間をずらしたり、居間を別にしたりと工夫を重ねながら、穏やかな同居生活を続けていた。父は、何かと気疲れすると言いながらも「孫と一緒に暮らせるのは楽しい」と満足している様子だった。

父の家族葬「お墓をどうしようか」

 その父が5年前に亡くなった。新型コロナウイルス感染症が広がっていた時期で、身内だけの家族葬で見送ることになった。

 葬儀を終えると、近くのホテルで精進落としを行い、実家に戻ってから、居間の仏壇のわきに自宅飾りを設置し、集まった家族全員で焼香した。

 こうして一息ついたところで「さて、お墓をどうしようか」という話になった。

 父は3人兄弟の次男で、分家筋のため、まだ墓を用意していなかった。

 母によると、以前、市役所の紹介で墓地を見学したこともあったという。ただ、長男のHさんが実家を継ぐかどうかわからなかったため、購入は見送って…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。