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大型ロケット「三菱重工・IHI・川重」御三家のすみわけ

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国際宇宙ステーションに物資を届ける新型無人補給機「HTV-X」1号機を搭載し、打ち上げに成功したH3ロケット7号機=鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで10月26日午前9時
国際宇宙ステーションに物資を届ける新型無人補給機「HTV-X」1号機を搭載し、打ち上げに成功したH3ロケット7号機=鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで10月26日午前9時

 重工3社は宇宙事業では互いに補完しながら日本の宇宙開発の中心的な役割を担っている。

 政府の宇宙関係予算は近年、右肩上がりで増加している。2025年予算(同年度当初予算額、宇宙戦略基金関係執行予定額、前年度補正予算額の合計)は9365億円に上り、15年比で2.9倍に膨れ上がった(図)。産業界は成長分野として注目を高め、宇宙事業に参入する国内外のベンチャー企業が台頭し、市場競争は厳しさを増す。この状況の中、三菱重工業、IHI、川崎重工業の重工3社はそれぞれの実績と強みを生かし、競争力の強化を図っている。

 日本の大型主力ロケットの開発、製造、運用はかつて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主体的に担っていたが、三菱重工が07年にH2Aロケットの技術移転を受け、商業打ち上げの受注から運用まで一貫して担う体制を確立した。

 H2Aは打ち上げ成功率98%という高い信頼性を誇る一方、打ち上げコストが高く、国際市場での価格競争力に課題を抱えていた。こうした背景を踏まえ、現在開発が進む新型ロケットH3は、三菱重工が設計段階から主体的に参画し、大幅なコストダウンと高頻度の打ち上げを可能にする体制の構築を目指している。今年9月時点で4機の打ち上げに成功しており、将来的にはH2Aと同様、同社が運用を担う計画だ。

 H3は従来の政府系衛星の打ち上げに加え、国際市場への本格的な参入を視野に入れ、すでに欧州や中東から商業打ち上げを受注した。また、H2Aの打ち上げは年間4機前後だったが、H3はコスト低減と収益性向上のため、年間6機以上の高頻度打…

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