自民党総裁選が10月4日に行われ、高市早苗氏が総裁に選出された。その後、26年にわたり続いてきた自公連立が崩壊。自民党と日本維新の会は連立政権合意書を交わし、両党による連立政権樹立で合意。同月21日に衆参両院の本会議で高市氏が第104代首相に指名されることとなった。
こうした一連の政治の動きを受けて、10月利上げ予想をしてきたエコノミストが、一斉にその予想を変更することとなった。金融緩和を志向する高市政権下では、政権誕生から間もない10月の利上げは難しいとの見立てが支配的になったわけだ。
結果として、こうした見方は正しく、日銀は10月に金融政策を据え置いた。このような短期的な見通しは、それ自体重要ではあるものの、一歩引いてみると中期的な見通しの方向性は変わっている可能性がある。結論を先取りすれば、日銀の今後の政策運営は「正常化」という利上げを進めてきた局面から、高市政権の政策の後ろ盾となる「高圧経済政策」(経済の過熱感をある程度容認し、金融緩和や財政刺激策を続ける政策)への協調に変わり始めていることを意識する必要があるかもしれない。
植田日銀はセオリー通りに進めてきた
植田和男総裁自身は記者会見などで「正常化」という言葉を極力使わないようにしている印象だが、金融市場参加者からすれば、2023年の総裁就任以降の金融政策運営を一言で表せば「正常化」であった。
2024年3月にマイナス金利を解除(政策金利は0~0.1%へ)すると同時に、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)政策を撤廃。同年6月には国債購入減額を決定し、同年7月には追加的な利上げを実施(政策金利は0.25%へ)すると同時に、国債買い入れ減額計画の詳細を公表。さらに25年1月には、追加利上げを実施(政策金利は0.50%へ)。4月以降は関税をはじめとした米国の通商政策に金融市場が動揺したこともあったが、9月には上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)の処分方針を決定した。ETF処分については前回の本欄で述べた通りである。
この間、インフレが進んできたこともあり、こうした「正常化路線」は経済フ…
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