高齢化時代の相続税対策 フォロー

元商社マン78歳の終活 米国暮らしの長女に何を残す?

広田龍介・税理士
=Getty Images
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 商社マンだったAさん(78)は現役時代、家族とともに海外暮らしが長く、長男(50)と長女(46)は、英語を日常会話として育った。長男は外資系企業の国内勤務で、長女は外資系会社に就職したが、米国人と結婚し、今は米国に居住している。それぞれ子ども2人がいる。

米国で暮らす長女は「非居住者」

 Aさんは最近、相続対策を考え始めた。

 主な財産は、自宅の土地・建物、賃貸マンション2戸、上場有価証券と現預金だ。相続人は妻(78)と長男、長女の計3人。財産を分けるにあたっては、まず妻には自宅の土地・建物と生活資金を優先的に相続させることにしたが、長男と長女については、何をどう残すかを検討している。

 特に、米国で暮らす長女は「非居住者」となるため、注意しなければならないことがいくつかあるとわかった。税制上、国内に住所があるか、または現在まで引き続き1年以上居住している人が「居住者」で、それ以外は「非居住者」となり、扱いが違ってくる。

 まず、1億円以上の有価証券を相続させた場合「海外転出時(相続)課税」の対象となる。相続の時点で、有価証券の譲渡があったものとみなされ、有価証券の含み益に対して所得税が課税されてしまう。

 通常、相続や譲渡などで有価証券などの財産の持ち主が変わる場合は、「その人が住んでいる国(住所地)で課税する」というルールがある。

 そのため、相続人が海外に住んでいる非居住者の場合、日本ではその財産の移転に対して課税することができない。そこで、日本から海外へ財産が移るときに、事前に税金をかけておく制度として「海外転出時課税」が設けられているわけだ。

確定申告も手続きが煩雑に

 これ…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。