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中国支配の脅威、医薬品・半導体・電池でも

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
=Getty Images
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<Yoko Kubota/2025年11月7日>

 【北京】中国は、重要なレアアース(希土類)鉱物の供給を制限することで、世界のサプライチェーン(供給網)に対する支配力を武器化できることを示してきた。中国からの材料不足が米国の生産を脅かした際、ドナルド・トランプ米大統領は交渉のテーブルに着き、先週、中国の習近平国家主席との間で貿易戦争の「休戦」に達した。両国はこの合意によりレアアース供給網の制約が緩和されるとしている。

 しかし、中国政府が用いる手段はこうした重要鉱物にとどまらない。リチウムイオン電池、成熟した技術を採用した半導体、医薬品原料という、中国が支配的地位を握る他の三つの産業を見れば、米国が脆弱(ぜいじゃく)性から完全に脱却するために何をする必要があるかが分かる。

 中国によるサプライチェーン支配の背景には、数十年にわたる産業政策がある。

 中国企業が広範囲でサプライチェーンを支配し、その過程で世界市場を低価格製品であふれさせると、中国政府は輸出規制を導入し、その優位性を活用して競合国に打撃を与えたり脅威を与えたりできるようになる。他国がより高いコストで代替品を調達できる場合もあるが、中国以外でサプライヤーを見つけるのが困難、あるいはほぼ不可能な場合もある。

 習氏は2020年の論文で、サプライチェーンの支配を武器化すべきではないとした一方で、中国が他国から危害を加えられることを阻止するため「国際産業チェーンの中国への依存を強化する」必要があるとも指摘した。

 中国が輸出力を利用して影響力を発揮するための戦略を以下に挙げる。

リチウムイオン電池

 リチウムイオン電池は電気自動車(EV)、エネルギー貯蔵、家電製品に使用される。これを制する者が自動車技術とグリーンエネルギーで優位に立つ。

 世界の電池メーカー上位2社は寧徳時代新能源科技(コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロ…

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