人型ロボットはハイテク部品などの普及が進み、本体価格のコストダウンが進む。人型ロボットの基本的な技術と普及への課題を探った。
「ヒューマノイド」という言葉は、一般的に頭部、胴体、腕、脚などを持ち、人間に似た形状で二足歩行するロボットを指す(以下、人型ロボット)。ただし、手のひらはあるが指がない、関節が人間とは逆方向に曲がるなど、部分的に人間と異なる形状をしているものも存在する。
対応可能な作業も、人間と同様に幅広いタスクを実施することが想定されており、高い汎用(はんよう)性が期待される。人間に似ていることで、人間を中心に設計された社会インフラに導入しやすく、また社会での受け入れやすさが増すと考えられている。
人型ロボットの実現には、ソフトからハードまで多様な技術が必要であり、古くから多くの専門家が研究に取り組んできた。近年注目を集める理由の一つが、人工知能(AI)の進展に伴う動作精度の飛躍的な向上であり、従来困難とされていた、卵を持つ(力加減が難しい)、洗濯物を折り畳む(形状が絶えず変化するため服の境目を認識しつかむのが困難)――といった動作が実現しつつある。
仮想空間でも訓練
AI技術の中でも期待されているのがロボット基盤モデルで、これは、米オープンAIのチャットGPTに代表されるLLM(Large Language Model=大規模言語モデル)のロボット版の技術だ。ロボットに関するさまざまな環境やタスクのデータを大量に学習したモデルで、多様なタスクに対応できる汎用性を持つ特徴がある。
また、近年は仮想空間上で人型ロボットに歩行や転倒、物のホールド、物の移動などさまざまな動作を実施させ、効率的に学習することが可能となったことで、AI学習の時間とコストが大幅に短縮、削減された。ただし、仮想空間での学習をそのままロボットに適用してもうまく動かないこともあるため、現実のデータも引き続き重要であり、現在は現実のロボットの動作データを大量に収集する競争が各国で始まっている。
ハード面では、コストが大きく低下している。かつては1台の製造コストが数千万円レベルかかっていたが、現在の人型ロボットは、アクチュエーター(駆動装置)の数などにも左右されるものの、およそ100万〜2000万円程度まで低下しているとみられる。アクチュエーターが油圧系から電動系に移行したことや、LiDAR(ライダー)などの高性能センサーの価格低下、電気自動車(EV)の普及によるバッテリーのコスト低減などがロボット価格低下につながったとみられる。
資産運用会社グローバルXの推計によると、2023年時点での標準的な人型ロボッ…
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