世界の中でも中国の人型ロボット技術の進展は著しい。豊富な人材とともに、データや技術基盤、分厚い供給網を土台に世界を圧倒している。
「自動車が各家庭に1台あるように、ヒューマノイド(人型)ロボットも1台、あるいは複数台所有し、家事を担う日が来る」――。筆者は中国各地の人型ロボット企業を訪問しているが、こんな意見が幹部や専門家から相次ぐ。その時期は「10年後。技術の進歩次第では10年以内も可能だ」と強気だ。
中国移動ロボット産業連盟によると、世界に220社ある人型ロボット企業のうち、昨年末時点で中国が半数の110社を占める(図1)。今年1月の春節のイベント(日本でいえば紅白歌合戦に当たる)では16体の人型ロボットがダンスを披露し、話題になった。ロボットのマラソン大会(4月)や格闘技大会(5月)、運動会(8月)などを経て、動きがどんどんスムーズになっている。
筆者は毎年、人工知能(AI)をテーマとする上海の国際会議「世界人工知能大会」(WAIC)に参加しているが、中国のロボット技術は「研究室でのデモンストレーション」から「量産・実運用によるマネタイズ」段階に移行しつつあるとみている。
昨年のWAICは18体のロボットが展示されていたが、歩行すら不安定だった。今年は四足歩行ロボットがダンスを披露し、人型ロボットが仕分け作業をしたり、書道を実演したりした。注文に応じ、ペットボトルなどの商品をピッキングし、客に渡すロボット店舗もあった。
前述の強気な見方は現実味を帯びている。中国ではロボットはスマートフォンや電気自動車(EV)に続き、社会を変える技術産業に成長するとの期待が高まっている。
現在はレベル2〜3
中国のロボット技術は、どこまで進んでいるのか。シンクタンク「中国信通院」は人型ロボットの技術レベルを①基本的機能の実現、②初歩的な知能の実現、③特定シーンでの知能実現、④多様なシーンへの適応、⑤AIに身体性を持たせた「エンボディードAI」の実現――の5段階でまとめている。これを縦軸に、さらに応用レベルとして場面ごとに「工場・製造」から、より繊細さが必要…
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