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トランプ氏の核実験再開指示 得をするのは中国か

会川晴之・毎日新聞客員編集委員
トランプ米大統領の「核実験再開」には米国内に疑問の声がある=AP
トランプ米大統領の「核実験再開」には米国内に疑問の声がある=AP

 トランプ米大統領が10月末、核実験の再開命令ともとれる指示を出した。米国が核爆発を伴う実験をすれば、ロシアや中国も対抗するのは確実との見方が大勢を占める。さらに実験再開は、「中国を利するだけ」との指摘も多い。なぜなのだろう。

 いつものことだがトランプ氏の指示にはあいまいな点が多い。トランプ氏は「中露両国と同等な立場」という言葉を使ったが、ロシア(旧ソ連)は1990年、中国は96年を最後に核実験をしていない。「同等」を素直に解釈すれば、バイデン前政権を最後に実施していない爆発を伴わない臨界前核実験の実施を求めたとも解釈できる。それなら問題はない。

 トランプ氏の発言のタイミングが、ロシアが核兵器の搭載が可能な新型巡航ミサイルや水中ドローンの実験直後だったこともあり、米国も同様の実験を求めた可能性も捨てきれない。その場合、トランプ氏は米国が9月に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験をし…

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毎日新聞客員編集委員

1987年入社。欧州や北米総局長などを経て、2020年から専門編集委員。日米政府が進めたモンゴルへの核廃棄計画の特報で、11年度ボーン・上田記念国際記者賞。連載「核回廊を歩く 日本編」で16年科学ジャーナリスト賞。