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64歳長女「独居の父を同居介護へ」実家資産どう活用?

広田龍介・税理士
=Getty Images
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 I子さん(64)は3姉妹の長女だ。姉妹3人は仲が良く、いずれも東京で家庭を築いている。高齢の両親は実家で夫婦2人暮らしをしているが、3姉妹のうち次女の自宅は比較的実家に近いため、I子さんは折に触れて、次女に両親の様子を見に行ってもらうよう頼んでいた。

息切れを訴えた母

 半年ほど前、母が階段の上り下りや、買い物で外出した際に息切れがすると訴え、病院で精密検査を受けたところ、心臓に障害があることがわかった。

 医師からはペースメーカーを付けることを勧められたが、母は手術を嫌がり、このまま無理をしない生活をすると言って処置を断った。父も、母に負担をかけないよう、自分もできるだけのことはすると言ってくれた。

 次女はこれまで以上に実家に顔を出すようになり、買い物や掃除を引き受けるなど、協力してくれた。

 こうして5カ月ほどたった日の朝、母がいつもの時間に起きてこないことに父が気づき、声をかけて確認したが、動かなくなっていた。突然のことに父は動揺し、連絡を受けた次女が救急車の手配をしたが、母はすでに亡くなっていた。

 家族葬を済ませた後、初七日が過ぎるまで、3姉妹は父のことが気がかりで実家で過ごした。

 I子さんは、父がかなり衰弱しており、認知機能が低下していることを感じ取っていた。

 家族との会話が進まず、物忘れがひどくなっている。近所の人が来ると、以前と変わった様子もなく会話をしており、時間帯などによる波はあるようだが、実家で1人暮らしをさせることには不安がある。長女の責任として、I子さんの自宅に引き取るべきだと考えた。

 次女からは「私が実家に移り住むことにした方が安心できるのでは」と申し出…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。